2019年4月13日土曜日

マーケットレビュー(2019年1-3月)

【全体感および私見】
昨年からの米中貿易戦争やFRBの利上げの影響から、世界中で景気減速が表面化してきた2019年1-3月期。しかし予想に反し、株式市場を中心とした世界金融市場は堅調な動きを見せました。

世界景気の減速に加え、英国のEU離脱問題や米中貿易戦争等の政治リスクも全く収まる気配がない中で、欧米の中央銀行が一転して「金融引き締め姿勢を転換したこと(むしろ先行き緩和姿勢)」や「中国政府の大規模財政出動」等が、昨年末にマーケットの下落を見込んで、先物取引や信用取引で売りポジションをとっていた投資家の買戻しを誘引したことによる上昇相場だったと言えるでしょう。

このような景況感や企業業績の裏付けがない株式市場の上昇は「ベアマーケットラリー(弱気相場の途中で発⽣する⼀時的な上昇相場)」と呼ばれ、それは高い確率で期限付きの上昇に終わり、先高感に乏しく投資マインドも決して盛り上がらない局面とされています。

しかし一方で、このような相場格言もあります。

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
(ジョン・テンプルトン:アメリカの著名投資家)。

この相場格言に現状を照らし合わせるならば、現状投資家の間に楽観や幸福感はあまり感じられないので、「懐疑の中にいる」のかなとも思います。

まあいずれにせよ、マーケットの先行きのサイクルを見極めることは容易なことではありません。大切なことは、自分のリスク許容度に応じた長期投資資金の範囲内で、様々な思惑が渦巻く中で生まれてくる相場変動をしっかり受け入れつつ、長期的に資産の成長をじっくり待つことです。

何だかいつも同じことを言っている気がしますが…(笑)、本当に大切なことは、ほんとうにいつも同じことであり、それは私たちが、お客様に最初にお話をしたことなのだと思っております。

このことについての重要度を深く認識する時に、いつも思い出す言葉があります。
「我々のすべての探求は、最終的に初めにいた場所に戻り、その場所をはじめて認識することである。」
TS・エリオット:1920世紀イギリスの詩人・劇作家)

これから「令和の時代」になり、「テクノロジーがさらなる進化を遂げる時代」が到来したとしても、人間が生きていくことにおける本質を表現した、このエリオットの言葉が色褪せることはないと私は思います。


【注目ニュース(2019年1-3月期)】

1/3 円レートが急騰 1ドル104円台に。1分間で4円瞬間上昇。
1/4 アップルショック、日経平均2万円割れ、NYダウ660ドル安。
1/4 米FRBのパウエル議長が「利上げの一時停止」もあり得ると発言。
1/8 米中貿易急減速(米→中、大豆や車で4割減、中→米、産業ロボ5割減)
1/15 英国EU離脱案が下院で否決される。
1/17 欧州の景気減速が鮮明に(ドイツとイタリアが昨年7-9月期からマイナス成長に)
1/17 日本電産ショック。業績大幅下方修正、永守会長「尋常でない変化」。
1/21 中国、28年ぶり低成長。2018GDPは+6.6%、貿易戦争の影響。
1/30 米FRBが利上げ一時停止。量的緩和の縮小についても「修正の用意」
2/19 米国の主要500社の20191-3月期業績は11四半期ぶりにマイナス予想。
2/21 欧州中央銀行(ECB)が、金融緩和縮小を修正する方向に。
2/21 米FRBが量的緩和縮小を年内に終了する見通しを公表。
2/25 トランプ米大統領は3/2に予定していた対中国の関税引き上げを延期。
2/26 米著名投資家ウォーレンバフェット氏がM&Aに慎重な姿勢を示す。
2/27 日本の個人投資家の投資信託の購入が10年ぶりの低水準に
3/5  中国は全人代で2019年に2兆元(約33兆円)の減税をすると発表。
3/7  新興国の物価上昇鈍る。マレーシアでは約9年ぶりに物価が下落に転じる。
3/14 英議会下院はEU離脱延期を可決。
3/20 米FRB2019年中の利上げを見送り、9月末で資産縮小を停止。
3/21 2018年度の世界主要15000社の株主還元は前年比2割増(23786億ドル)。
3/24 米司法長官、ロシア疑惑でトランプ陣営の共謀を認めず。
3/26 主要国で長短金利逆転が起こり、銀行株が急落。世界でリスクオフに動き。
3/29 リスクオフの動きが新興国通貨に飛び火。トルコ、アルゼンチンの通貨急落。
3/29 欧州でマイナス金利が加速。

【金融市場動向(20191-3月)】

2018年末
3月末
年間変化率
日本10年国債
-0.01%
-0.10%
-0.09%
米国10年国債
2.69%
2.40%
-0.29%
ドイツ10年国債
0.24%
-0.07%
-0.31%
英国10年国債
1.26%
0.99%
-0.27%
国内株式
2018年末
3月末
年間変化率
日経平均株価
20014.77
21205.81
6.0%
TOPIX
1494.09
1591.64
6.5%
ジャスダック平均
3210.13
3444.19
7.3%
東証REIT指数
1774.06
1907.36
7.5%
海外先進国株式
2018年末
3月末
年間変化率
NYダウ工業30種
23327.46
25928.68
11.2%
S&P500
2506.85
2834.4
13.1%
ナスダック
6635.28
7729.32
16.5%
FTSE100
6728.13
7279.19
8.2%
DAX
10558.96
11526.04
9.2%
香港ハンセン
25845.7
29051.36
12.4%
海外新興国株式
2018年末
3月末
年間変化率
上海総合
2493.90
3090.76
23.9%
インドSENSEX
36068.33
38672.91
7.2%
ブラジルボベスパ
87887.26
95414.55
8.6%
ロシアRTS
1066.13
1198.11
12.4%
商品
2018年末
3月末
年間変化率
原油WTI先物(ドル)
45.41
60.14
32.4%
NY金先物(ドル)
1278.3
1293.0
1.1%
CRB指数(ドル)
169.8
183.75
8.2%
為替
2018年末
3月末
年間変化率
米ドル/
109.60
110.81
1.1%
ユーロ/
125.62
124.31
-1.0%
英ポンド/
139.76
144.31
3.3%
豪ドル/
77.22
78.70
1.9%
NZドル/
73.55
75.48
2.6%
カナダドル/
80.3
82.93
3.3%
スイスフラン/
111.54
111.31
-0.2%
南アランド/
7.61
7.68
0.9%

2019年3月27日水曜日

新しい時代へのアクション

「日本のドローン関連スタートアップ企業が相次ぎ海外に進出(日経新聞2019318日付)」という記事に注目しました。

東京都渋谷に本社を置きドローンの運行システムを手掛けるテラドローン社は、新興国を中心に22ヵ国に進出し、インフラ点検などのノウハウを蓄積しているとのこと。

「なぜ日本国内でやらないのか?」

それは日本国内ではドローンの飛行に関する規制が厳しすぎて、スピード感を持って事業を成長させることができないからです。

ドローンに限らず、日本では新しい技術を活用した社会を構築するにあたり、様々な分野で規制が邪魔をしています(民泊やカーシェアリングなどが代表的な事例)。

アベノミクスの3本目の矢は「規制緩和によるイノベーション創出」だった気がしますが、それは私の勘違いだったかもしれない、とさえ思う今日この頃です(苦笑)。

確かに新しいことをする時には、必ず何かしらの問題が発生します。
しかしグスグスしていたら、それ以上に悪い状況になるのは誰の目にも見えているはずです。
だからこそ「新しい」に付随する問題を最小限に食い止める策を講じ「新しい」が生み出す利益を最大化させるといった総合的な視点が大切になってきます。

しかし残念ながら、何か問題があれば即座にネットで誹謗中傷される世の中の風潮が、日本全体のチャレンジ精神の欠如を助長しているようにも見えます。

今まさに「本格的な人口減少、高齢化社会」を迎えるにあたり、それに対応した社会構造を創るために適切な手を打っていかなければならない時期です。

過去からの規制や既得権の存在が新しい動きを制限する状況が続くならば、日本の未来は決して明るいものにはなりません。

このような現状を長期投資の視点から見れば、日本市場の存在感はますます薄くなっています。一部の選りすぐりの企業だけは勝ち残っていくでしょうが、そのような社会は決して健全ではありません(現在の韓国のような近未来)。

奇しくも人口減少、少子高齢化で世界のトップを走ることになった日本ですが、過去のいい部分は残しつつ、駄目になった部分は果敢に断ち切り、様々な社会問題を解決する多種多様な企業が活躍する土壌をつくっていくことが急務です。

そのためには規制緩和は避けて通れません。しかし一方で現場の声を真摯に汲み取る柔軟性と深い洞察力がなければ、規制緩和の悪い側面が顔を出してくる可能性が高くなってきます。

まあどちらにしても、日本が新しい時代に繁栄するためのアクションにとって、残された時間は短く、また狭く困難な道になっているように感じます。これは悲観論ではなく、健全な危機感です。

私が個人としてできるのは「日本の個人金融資産の価値向上に資するファイナンシャルサービスの提供」だけですが、他の分野で頑張る皆さんを、私の分野でできることでサポートをしていく。
微力ではありますが、そんな使命感を持って新年度また新しい元号の時代を迎える所存です。

2019年3月11日月曜日

金融業界の未来

「これから数年で日本の金融業界は激変していく。」
多くの人が、そう予感がしているのではないでしょうか。

おそらく一番敏感に感じ取っているのは、既存の金融機関(銀行、証券、生損保)で働いている人たちでしょう。

それは銀行から有望な若手社員が続々と転職をしている現状に表れているような気がします。おそらく証券や生損保業界でも同様のことが起きていると推測します。

このような状況に陥るトリガーを引いたのは、20161月に始まった「日銀のマイナス金利政策」だと思います。これで銀行は利ザヤが稼げなくなり、加えて国債などの安全資産での運用もできなくなり、安定収益(ある種の既得権)が奪われることになりました。

さらには近年の金融監督庁の法令順守に関する厳しい姿勢が、いわゆるコンプラ不況を招いている可能性も否定できません。

金融業界全体として自業自得という側面があるにしろ、日銀のマイナス金利政策で安定収益を奪われ、法令順守は当然かつ最も大切なことですが、実際には金融機関のアニマルスピリッツを奪い、積極性を失わせている。
そのような感覚は、金融の現場で働く人達の多くが持っているように思います。

「金融機関の人間は悪いことをする」という性悪説をベースにルールが変更され「金融機関は利用者や社会のニーズに応えていない」という烙印を押されるなど、今まで金融機関が果たしてきた良い側面を全否定するような風潮があるとするなら、それはちょっと行き過ぎのような気がします。

テクノロジーの発展で、既存の金融業界は新興のフィンテック企業に取って代わられる。資産運用も人間よりもロボットやAIに任せた方が、安くて良質なサービスが受けられる。

そんな近未来予想図が政治や行政やマスコミを通じ語られているように感じますが、個人的にはこのような風潮から生み出される金融業界の未来にポジティブなイメージを持つことは全くできません。

金融サービスを享受するお客様は、血も涙もないロボットではなく、様々な価値観や感情を持つ人間だということを忘れてはなりません。

ビッグデータやアルゴリズムで分析することで「個々の人生とお金に関する正しい意思決定」を簡単に導きだせる、そんなものでは決してないのだと思うのです。

だから金融業界で働く皆さん、厳しい環境かもしれませんが頑張ってまいりましょう。

「人間の私たちにしかできない仕事はなくならない」

「それどころかますます重要になってくる。」

それが未来の事実になっていると私は思います。
(とは言え、今のままのやり方では、本当に駄目になっていくということも自覚しながら…)。

2011年3月11日の東日本大震災から8年目の今日。

日々元気に仕事ができることに感謝しつつ、ファイナンシャルアドバイザーという仕事の本質を改めて確認し、しっかりとお客様と向き合っていかなければならないと、私も心を新たにしたところであります。

2019年2月21日木曜日

凝縮と拡張

過去の自分の仕事人生を振り返ってみると、そこには凝縮期と拡張期があるように思えます。

凝縮期は、自分自身が持つ知識や考察を、じっくりと深く掘り下げていくこと(深化)に注力し、その知識や考察をベースに質が高いアウトプットを実現していく。そんな時期な気がします。自分的には、凝縮期は効率がいいライフスタイルを過ごしていて、仕事的にもうまくいっていた快適な時期だったと言えます。

一方で拡張期は、凝縮期に磨いてきたスキルや練り上げたヴィジョンとかビジネスモデルとかが、これからの社会経済の変化に対応できなくなるリスクや不安を感じ、自分自身の能力やモノの見方を拡張しなければ、未来は自分にとって暗いものになると予感し、そこでは私も変化という行動をとってきたように思います。

この時期は、新たな学習をしたり、新しい人に積極的に会ったりして情報をインプットすることを重視したライフスタイルを送ってきたように思います。仕事的には短期業績は上がりづらい時期なのですが、次なる成長(進化)のための大事な時期だった言えます。


【私自身の過去の流れ】

22歳~25歳 拡張期(インプット) 社会人になって、新たな学びを得る。

26歳~34歳 凝縮期(アウトプット)今まで学んだことを活かして業績拡大。

35歳~37歳 拡張期(インプット) 転職し異なる環境で、新たな学びを得る。

38歳~50歳 凝縮期(アウトプット)今まで学んだことを活かし独立、業績拡大。


現在51歳、そろそろ拡張期が近づいているかな?(笑)。

今、そんなことを考えつつ、すべての事象は凝縮と拡張の連続運動なのでないかと、このブログを書きながら思い始めてきました。

心臓の収縮活動がなければ人間は生きていくこともできませんし…。

経済活動や株価についても価格で見ると上がったり下がったりという上下運動に見えますが、時価総額という量的な側面から見るならば、やはり凝縮と拡張の連続運動こそが本質なのだと理解できます。

人間が生きていくこと、成長していくこと、GDPや株価が成長していくこと等々、この根底にあるのが「凝縮と拡張の連続運動」なのではないでしょうか。

そう考えることができるなら、変化を不安の種ではなく成長の機会として捉えることができるのでは…。

2019年2月6日水曜日

価値が高いファンドを育てる意識

2019111日付けの日経新聞で欧州の大手PEファンド(未公開株ファンド)ペルミラ・アドバイザーズのCEOのインタビューが掲載されており、短いながらも興味深い記事だと思いました。

同社は日本の個人投資家には馴染みのない運用会社ですが、世界の機関投資家を中心に高い評価を得ています。


さてペルミラCEOのインタビューの中で、私が気になった点を中心に列挙すると…、

    現在良好な市場環境は終わりに近づいている。

    そのきっかけになり得るのが米中貿易戦争と世界の中央銀行の金融緩和縮小。

    市場は景気後退後の公正価格を織り込み切れていない。

    しかし我々は長期投資家であり、短期的な市場環境は投資の決定に影響を与えない。

    今がバブルかどうかなんて誰にも分らないはず。

    日本市場については過去20年の欧州と同様に、国境を越えた企業再編が活発化する。

    欧州のPEファンドが米国より高いリターンを実現してきたのは、米国に比べて欧州企業の効率性が低く、改善すべき点が多く残っていたのが大きい。

    今後、日本の大企業は非中核資産を切り出す動きが続くので、日本のPE市場は成長する。


以上の点は、未公開株式を投資対象とするPEファンドからの視点ですが、上場株式の投資、特にアクティブ型ファンドを保有する投資家にとって、大変参考になる物の見方かと思います。

マーケット環境が悪くなるとか、企業経営が非効率であるとか、一般的に投資家にとってネガティブな情報が流れる時、一流の投資家にとっては絶好の投資機会を狙える状況にある可能性が高いということを、このインタビュー記事は示唆しているように私は感じました。

マーケット環境が悪く、資産価格が総じて下落する時には、一流の投資家もそうでない投資家も同じように影響を受けます(例えばアップル株が大きく下落した時、同社の第2位大株主のバークシャー・ハザウェイの大投資家ウォーレンバフェットだけが影響を受けないということは当然ないわけです)。

しかしながら、このように市場が下落した時、ポートフォリオの中身を再確認した上で、今までのかたちをしっかり堅持する、もしくはこれを新たな機会と捉えてポートフォリオの入れ替えを行う等、未来志向の投資行動をとれるかどうか…。
それが一流とそれ以外に投資家との大きな違いなのだと思います。

価格変動ではなく投資先の本質的価値をしっかり認識しておかなければ、そんなことはできません。個人投資家の長期投資の視点で言えば、下落相場に価格があまり下がらないファンドよりも、下落時に次なる投資機会をしっかり狙ってくれるファンドの方が価値が高いように私は思います。

しかしながら日本においては様々な要因から、このような価値が高いファンドはかなり少ないのが実情です(希少価値と言っても過言ではない)。

率直に言うと、この現状を招いた責任は運用会社だけでなく、投資家サイドにもあります。

日本においては市場環境が良いと資金が集まり、市場環境が悪いと資金が流出する状況が、長年且つ極端なかたちで続いてきました。

運用者は下落時に次なる投資機会を積極的に狙わなければならない一番大事な時に、実際はファンド解約による資金手当てのため保有銘柄を売却しなければならないジレンマにいつも陥っていたのです(この状況は今も続いている)。

価値が高いファンドを育てるのは、実は価値が高い(=高い見識を有する)投資家であることを、私たちはもっと理解しておく必要があるのではないでしょうか。

ちなみにPEファンドは、通常10年間は解約できないので運用者はじっくり腰を据えて運用ができるのです。

2019年1月25日金曜日

経済基盤をしっかりしておくことの大切さ

先日NHKニュースウォッチ9で「九州大学 ある研究者の死を追って」という特集を見ました。

昨年の秋、九州大学の46歳の非常勤講師が研究室に放火をして自らの命を絶った事件を取り上げたニュースでしたが、彼の人生を終わらせた最後のトリガーは、経済的な困窮によって自らの夢が絶たれた点にありました。

彼は体の不調のために通っていた整骨院の人に、こう言ったそうです。

「学力や能力があっても、それ以上先に進もうと思ったときには、すべて経済的な力が必要になるので、能力を生かしきることはなかなか難しい」

彼を取り巻く環境はとても難しい状況で、正直どうしようもなかったのかもしれませんが、それでも「人生とお金に関するパーソナルファイナンスの考え方(戦略)」を、彼がもう少し若い時に知り実践していたなら、また違う結果になった可能性も少しはあったのではないかと…、テレビを見ながらそう思わずにはいられませんでした。

「継続的な経済基盤の脆弱さ」は、個人の夢や目標を断念させ、生きる力を奪っていきます。
※一時的な貧乏は、そこから脱出するための生きるエネルギーになるケースも多い。

思い起こすと、私は1998年くらいから約20年くらい金融教育的な活動をしてきました。

最近は「資産運用の重要性」への認識も高まり、昔から言ってきたことが、結構当たり前の常識になってきたので、今さら声高に「資産運用の重要性」を説くのもどうかと思ったりする反面、頭でわかったつもりでいても「それを適切なかたちで実践している人」は殆どいないとも感じます。

そんな現状を見るにつけ、巷の投資教育セミナーやコンテンツに対して、とても微妙で残念な気持ちを持ってしまいます。

ここで改めて「資産運用の重要性」を簡単に整理しておくと…、

    「医療技術の発達」や「健康意識の高まり」で年々、個々の人生の時間が長くなってきている。一方で少子高齢化の影響もあって、公的な社会保障(年金・医療・介護)の基盤は年々脆弱になってきていることは明白。

    これからを生きる全ての人が「豊かな人生を継続的に実現していく」ためには、やはり「個人としての経済基盤の強化」は欠かせない。

    現在はそこそこ収入があって自分自身のライフスタイルを実現していたとしても、油断をしていたら20年後、30年後どうなっているかはわからない。

    だからこそ、長い人生を俯瞰した「骨太の資産運用プラン」を持っておくべきである。※ライフプランを考慮して、短期資金は「預貯金」、長期資金は「投資」が基本。

    現役時代に自分自身が生み出すキャッシュフローから、20年後、30年後に価値が高まる複利運用で資産を形成する(資産を増やす「山登り的ライフステージ」)。

    次に退職後の人生。この期間も長くなってきたので、資産運用は続けながら、自分自身が生み出す労働キャッシュフローが減少した分、投資資産が生み出す運用キャッシュフローを生活の足しにし、元本はなるべく減らさないよう心掛ける(資産を減らさない「山下り的なライフステージ」)。

    長い時間をかけ資産形成をして、長期投資マインドも醸成されることで、現役時代より、時間的にも経済的にも余裕がある豊かな状態を作り出すことができる。

以上のようなコンセプトは一般的になりつつあるのですが、しつこく繰り返し申し上げると、ほんとうに適切なかたちで資産運用を実践できている人…、殆どいないんですよねー。

そんなことなので「バリューマネジメントと一緒に考え、実践しませんか?」と、資産運用の重要性と共にまだまだメッセージを発信し続けていく所存です。

■ご参考:九州大学 ある研究者の死を追って
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190118/k10011781811000.html

2019年1月11日金曜日

マーケットレビュー(2018年12月)

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします!

2019年の実質仕事始めの今週ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
インフルエンザも流行ってきていますので、健康にはくれぐれも気をつけてください。

さて当ブログでは、毎月のマーケットレビューを行ってきましたが
誠に勝手ながら、今年から四半期ごとにしたいと思います。

理由としては、昨年末に2018年の月次レビューを全て読み返してみたのですが、自分で言うのも何ですが、内容自体は悪くないと思う反面、月次だとどうしても短期変動に関する情報に着目する感じになってしまうからです。

私と致しましては、お客様の長期投資をサポートする一環としてブログを書いていますので、月次の短期変動にバイアスがかかってしまうのは趣旨に反します。

よって長期投資に役立つマーケット情報については、月次ではなく四半期の塊で捉え、その中で、より長期的な視点にたった経済や金融のトレンドをお伝えできればと考えた次第です。

今後はマーケットレビューを減らした分、長期投資に関する様々な視点からの個人的オピニオンや少しゆるめのネタ話を充実させてまいります(笑)ので、今後とも「長期投資の視点」を宜しくお願いいたします。

というわけで今回、月次では最後になりますが昨年12月のマーケットレビューをさせて頂きます。

【マーケットコメント】
201810月に大幅下落を記録した世界株式指数(MSCIAC)でしたが、翌月は多少落ち着きました。しかし先月12月改めて大きな下落に見舞われることになり、結局10月~12月の四半期で見ると世界株式指数(MSCIAC)はドルベースで12.8%下落。円ドルレートが同期間で3.5%円高に振れたことから、円ベースでは約16%程度下落したことになります。

12月のクリスマス商戦の時期に株式市場が暴落するのは大変珍しいケースですが、125日に中国の通信機器最大手ファーウェイの経営幹部が逮捕されたことで米中の対立が激化し、マーケットのセンチメントは急速に悪化していきました。

2018年の世界株式市場を時系列の流れで見ると…、

年初1月は世界同時好景気を背景に世界株式市場は上昇。

翌月2月に米国の労働賃金が上昇し、それに伴い債券市場で金利も急上昇。多額のドル建て負債を抱える新興国の経済危機が顕在化し、新興国株式を中心に世界株式市場はリスクオフの展開になりました。

3月にはトランプ米大統領が、「鉄鋼・アルミの輸入制限を発動すること」及び「知的財産の侵害を理由に対中制裁となる関税を課すこと」を表明。

その後6月から夏場にかけて、実際に関税の引き上げに動きました。

関税引き上げの影響で、世界経済全体が徐々に減速する間においても、米国経済はトランプ政権の減税政策と財税政策が効いて、独り勝ち状態は続きました。

しかし残念ながら、トランプ大統領の対外的な強硬政策は今、ブーメランとなって米国経済に少しずつダメージを与えつつあります。勝者なき貿易戦争(すでに貿易の域を超えた米中冷戦ともいえる)が、2019年以降の世界経済に与える影響をマーケットは危惧していると言えるでしょう。

11月には米国で中間選挙が実施され、下院を民主党が制し、いわゆる上院は共和党、下院は民主党のねじれ議会となり、これからはトランプ大統領の思うままにはいかない状況になりました。12月は早速、メキシコ国境の壁の建設の予算を巡って与野党が対立、予算が決まらず政府部門の一部閉鎖が12月末から今まで続いています。

このように米国そのものが分裂状態で、政権もあらゆる面でコントロール不能な状況になり、そのことが米国経済の先行き懸念につながっているわけですが、FRB12月に今年4回目の利上げを断行。ちょっとKYな感じのパウエル議長のタカ派的発言が、12月の株式市場の大きな下落につながりました。やはりFRB議長には頭の良さだけでなくセンスが必要不可欠のようです。

欧州では、経済的には中国の景気減速の影響を受け勢いを失い、政治的にはドイツでメルケル首相、フランスでマクロン大統領は政治的な力を失い、英国のEU離脱が合意なきものとなるリスクが高まっています。

一方で、世界経済また企業収益について冷静に見ると、全体として減速感こそあれ、そこまで悪いという状況ではありません。しかし、とにかく先行き不安によるマーケットの激しい変動そのものが、AIやロボットの自動取引を誘引し、その影響もあって、株価の変動がさらに大きくなっているのが現状です。

2017年~18年の年末年始は上げのペースが行き過ぎだと感じましたが、2018年~19年の状況は全くその反対だと感じます。

「割高な株価が好調な企業業績への期待によって正当化されてきた1年前の状況」が終わり、「先行き不安が割安な株価を正当化している現在」ですが、個人的にはおそらくどちらも正しくないのだろうと思います。

いつの時代も、常に激しい変動の時こそ、物事の中心(本質)を見る目利き力が試されます。
職業人として身が引き締まる2019年です。


【金融市場の動き】

(12月末の長期金利) 
リスクオフで先進国の10年国債利回りは急低下。日本の10年国債が再度マイナスゾーンに突入したことの意味をどう解釈するか、そこが今後の日本の金融市場を占うポイントかもしれません。
世界の長期金利
12
前月比
年初来
日本10年国債
-0.01%
-0.10%
-0.06%
米国10年国債
2.69%
-0.30%
0.29%
ドイツ10年国債
0.24%
-0.07%
-0.19%
英国10年国債
1.26%
-0.08%
0.08%


(12月末の日本株式)
1ヵ月で約1割下がり、日本株全体を示す東証株価指数(TOPIX)は年間で約18%下落。PER(株価収益率)10倍、PBR(株価純資産倍率)1倍という日本株のバリューは、1年後に振り返った時、それが正当だったのかどうか興味深いところです。
国内株式
12
前月比
年初来
日経平均株価
20014.77
-10.5%
-12.1%
TOPIX
1494.09
-10.4%
-17.8%
ジャスダック平均
3210.13
-10.2%
-18.7%
東証REIT指数
1774.06
-2.4%
6.7%


(12月末の先進国株式)
米国1強の2018年だったはずが、12月の一ヵ月で吹き飛んだ感じです。米国株式について言えば、年間を通じて一桁台のマイナスは珍しいことではありませんが、高値からの下落率と、その下落のスピードに関しては、よくある話ではありません。欧州株式は散々な1年でしたが、現在配当利回りが4%~5%程度になってきていますので、バリューの尺度では面白いところにきているように感じます。
海外先進国株式
12
前月比
年初来
NYダウ工業30種
23327.46
-8.7%
-5.6%
S&P500
2506.85
-9.2%
-6.2%
ナスダック
6635.28
-9.5%
-3.9%
FTSE100
6728.13
-3.6%
-12.5%
DAX
10558.96
-6.2%
-18.3%
香港ハンセン
25845.7
-2.5%
-13.6%


(12月末の新興国株式)
新興国は12月の下落率を見ると、先進国より低いことが見てとれます。米国の金利が下落したことで、新興国のマーケットが金融面から落ち着きを取り戻しつつあります。
海外新興国株式
12
前月比
年初来
上海総合
2493.90
-3.6%
-24.6%
インドSENSEX
36068.33
-0.3%
5.9%
ブラジルボベスパ
87887.26
-1.8%
15.0%
ロシアRTS
1066.13
-5.3%
-7.6%


(12月末の商品市況) 
原油価格はOPECの減産協調の効き目もなく、世界経済の先行き減速不安とシェールオイル等による供給過剰が懸念され大幅続落。金融市場のリスクオフで金価格上昇。
商品
12
前月比
年初来
原油WTI先物(ドル)
45.41
-10.8%
-24.8%
NY金先物(ドル)
1278.3
4.8%
-2.1%
CRB指数(ドル)
169.80
-6.6%
-12.4%


(12月末の為替市場)  黒字は円安、-赤字は円高
リスクオフの円高が復活。米ドル一強と言われた2018年の世界の中で、通貨円の強さが際立つが、アベノミクスで円安に振れた揺り戻しに過ぎないのかもしれない。とは言え3年連続の円高。2019年も円高が続けば4年連続になるので、そろそろかなあーという気がしなくともない。
為替
12
前月比
年初来
米ドル/
109.60
-3.4%
-2.8%
ユーロ/
125.62
-2.2%
-7.1%
英ポンド/
139.76
-3.4%
-8.1%
豪ドル/
77.22
-6.9%
-12.2%
NZドル/
73.55
-5.7%
-7.9%
カナダドル/
80.3
-6.0%
-10.4%
スイスフラン/
111.54
-1.8%
-3.6%
南アランド/
7.61
-7.0%
-16.7%

以上