2018年12月9日日曜日

マーケットレビュー(2018年11月)


【マーケットコメント】
10
月に円ベースで約9%と大幅下落を記録した世界株式指数(MSCIACインデックス)ですが、11月は総じて一進一退の動きでした。政治経済面では株式市場の動きとは相反し、大きな動きがいくつも見られました。

まず116日の米国中間選挙。予想通り下院を野党民主党が制し、今後トランプ大統領への攻勢を強めていくことが予想されます。欧州では英国のEU離脱問題(合意なき離脱の可能性)、フランスのマクロン大統領の支持率低下、ドイツのメルケル首相の退陣、イタリアの財政問題等、欧州政治情勢はさらに混迷の度合いを増しています。

実体経済面でも今、このような政治問題(特に米中貿易戦争)の影響が本格的に出始めており、米中対立が解消されないのなら、来年の世界経済の成長は相当程度の鈍化を示すことになるでしょう。また日本では日産自動車のカルロスゴーン会長が逮捕され、12月になり中国の通信最大手ファーウェイの副会長が米国の要請を受けカナダで逮捕されました。

2018年も残すところあと一ヵ月ですが、金融市場において今年を代表するキーワードを、私的に選ぶなら「不安定(=不安+不定ともとれる)」という言葉になるでしょうか。

不安定が原因の株価下落は、利益減少が原因の下落と異なり、割安感というプレゼントを提供してくれる一面もありますので、今後の企業業績を「どう見極めるか?」が、とても重要な局面に差し掛かっていると言えるでしょう。


【金融市場の動き】

(11月末の長期金利) 
世界経済の先行きに対する不安から、先進国の長期金利は低下しました。特に米国では住宅需要に陰りが見え始めており(新築一戸建て住宅の販売は4ヵ月連続減少)、米国10年国債金利も3%割れとなりました。
世界の長期金利
11
前月比
年初来
日本10年国債
0.09%
-0.05%
0.04%
米国10年国債
2.99%
-0.15%
0.59%
ドイツ10年国債
0.31%
-0.08%
-0.12%
英国10年国債
1.34%
-0.11%
0.16%



(11月末の日本株式)
強弱材料がある中、とりあえず先月までの下落に歯止め。ただ米中貿易戦争問題で何らかの妥協があることへの期待から株式が買戻されたに過ぎず、上値を追う雰囲気は全くないのが現状。東証株価指数の予想PER(株価収益率)が約12倍と割安であることで下値も堅いのだが…。金利低下で上場不動産投信(REIT)は上昇。 
国内株式
11
前月比
年初来
日経平均株価
22351.06
2.0%
-1.8%
TOPIX
1667.45
1.3%
-8.3%
ジャスダック平均
3576.31
0.4%
-9.5%
東証REIT指数
1816.96
4.1%
9.3%


(11月末の先進国株式)
米国株式はFRBパウエル議長の利上げのトーンが弱まったことで月間を通すと小幅上昇。欧州株式については、政治面、経済面から逆風が強まっており今月も下落。ドイツでは79GDPがマイナス成長になり、DAX指数は年初来安値を更新中。一方でドイツ株式の予想PERは約11倍まで低下しており割安感はかなり出てきている。
海外先進国株式
11
前月比
年初来
NYダウ工業30種
25538.46
1.7%
3.3%
S&P500
2760.17
1.8%
3.2%
ナスダック
7330.54
0.3%
6.2%
FTSE100
6980.24
-2.1%
-9.2%
DAX
11257.24
-1.7%
-12.9%
香港ハンセン
26506.75
6.1%
-11.4%


(11月末の新興国株式)
米国の金利低下を受け、新興国市場は落ち着きを取り戻しました。特に原油価格の大幅下落を受け、石油を大量に輸入しているインドの株式市場は大幅高。
海外新興国株式
11
前月比
年初来
上海総合
2588.19
-0.6%
-21.7%
インドSENSEX
36194.30
5.1%
6.3%
ブラジルボベスパ
89504.03
2.4%
17.1%
ロシアRTS
1126.14
0.0%
-2.5%


(11月末の商品市況) 
原油は10月に-11%、今月-22%と急落。世界経済の成長率鈍化に加え、米国シェールガスの増産等で需給が緩和されていることが原因。
商品
11
前月比
年初来
原油WTI先物(ドル)
50.93
-22.0%
-15.7%
NY金先物(ドル)
1220.2
0.7%
-6.6%
CRB指数(ドル)
181.74
-4.8%
-6.3%


(11月末の為替市場)  黒字は円安、-赤字は円高
為替市場では、先月のリスクオフの円高から、若干リスクオンの円安へ。特に今年大きく売り込まれていた資源国通貨、新興国通貨がリバウンドした月となりました。
為替
11
前月比
年初来
米ドル/
113.50
0.5%
0.7%
ユーロ/
128.51
0.5%
-5.0%
英ポンド/
144.64
0.3%
-4.9%
豪ドル/
82.95
3.8%
-5.7%
NZドル/
78.03
6.0%
-2.3%
カナダドル/
85.43
-0.5%
-4.7%
スイスフラン/
113.60
1.4%
-1.8%
南アランド/
8.19
7.0%
-10.4%

以上

2018年11月30日金曜日

長期投資に向かない案件

弊社は、お客様に長期投資を推奨しておりますが、何でもかんでも長期で保有すればいいということではありません。

「質が高い資産を長期保有することが肝要です。」

「逆に質が悪い資産を長期保有すれば、とんでもないことになってしまいます。」
質の悪さの特長の1つとして、異常なブームになっているという点が挙げられるでしょう。

1年前のブログで、私は当時、大ブームになっていたビットコインのバブルは早晩、崩壊するであろうと述べています。またAI、ロボット等のテーマ型ファンドについても警鐘を鳴らしていますが、1年後の今、それは現実化されてしまいました。

ビットコインの昨日の取引価格は4305ドルで、昨年12月の高値19700ドルから約8割も下落しています。またコスト面から採掘業者の撤退も相次ぐ事態になりそうで、ビットコインの存在自体が危惧されている状況です。完全にバブルが崩壊したと言ってもいいでしょう。

■ご参照(201712月14日付けのブログ)

長期投資の前提条件である「質が高い資産」には、継続的にキャッシュフローを生み出す強固かつ多様な側面からの裏付けがあります。だからこそ、短期変動を乗り越えて、長期的な成長を実現することができるのです。

一方で、「ほんとうの意味で質が高い資産を見極める」ことは、一般投資家には至難の業です。どうしても今の情報やブームに流されてしまいがちです。

だからこそ、質が高い投資資産を見極めることができる数少ない卓越した運用会社には、ものすごく大きな付加価値があるのです。

しかし残念ながら、現在の日本では真に優れた運用会社の付加価値が、まだまだ理解されていないように思えます。

だからこそ弊社も尚一層、金融教育(投資教育)も含め、そのあたりの情報をしっかり伝えていかなくてはと…、そんな決意を新たにする今日この頃です。

2018年11月28日水曜日

腹を決める

長期投資で資産を増やしていくには、個々の投資家に「腹を決める」ことが求められます。

れは長期的な金融市場の成長を獲得するためには、短期的な変動を受け入れなくてはならないという覚悟です。短期変動と長期成長はセットであるという事実。逆説的に言うなら、変動がないところに成長はないということ。

このような長期投資に必要不可欠な「腹の決め方」は、優秀な企業経営者が持つ「それ」に似ている気がします。以下に2018917日付ウォールストリートジャーナルに掲載されていた「アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏のインタビュー記事」をご紹介します。

私たち長期投資家にも通じるマインドセットだと思いますので、是非ご参照ください。

  
(以下、関連記事から一部抜粋)

アマゾン株は足元で過去最高値圏にあるが、20年余り続けている全社会議では、従業員に繰り返し次のように諭しているという。

「株価が1カ月で30%上昇しても、30%賢くなったと考えないこと。なぜなら、1カ月で30%値下がりした時に、30%愚鈍になったと感じるのは気持ちいいものではないからだ。そういうことは起こるものだ」

ベゾス氏はさらに、伝説的な投資家ベンジャミン・グレアム氏の「株式市場は短期的には投票機(人気投票の場)、長期的には計量器(企業などの価値を測定する場)のようなものだ」という名言を引用。

「なすべきなのは、いずれはかりに掛けられるということをわきまえた上で、自分の企業をそのように運営することだ」とし、「日々の株価のことを考えるのに決して時間を浪費しないこと。私は決してしない」と続けた。

                                     以上

「皆さん、いかがでしょうか?」

私は、ジェフ・ベゾス氏が長期的な資産価値向上にフォーカスし、短期変動に惑わされないマインドを持っている(また強く意識している)事がよく解る記事だと思いました。

そういえば3.4年前に、サイバーエージェントの藤田さんも「資産は長期投資でしか増えないと確信している」ということを、日経新聞のインタビューで発言していました。

このように卓越した企業経営者は、経営においても、投資においても、長期の視点を大切にしています。

私たちも、現在のような不透明な環境下でこそ、長期投資のコンセプトを再確認し、改めて短期の変動を受け入れるべく「腹を決める」ことが大切ではないでしょうか。

そして最終的に投資ポートフォリオが金融市場という計量器に計られる時まで、時間をかけ、本質的な価値を見極めながら、じっくりと進んでいきたいものです。

2018年11月7日水曜日

マーケットレビュー(2018年10月)

今、米国の中間選挙の結果を気にしながら、このブログを書いています。
速報ベースでは上院は共和党、下院は民主党が多数派となったようです。
結果は結果として、今後の影響を見ていきたいと思いますが、この選挙のプロセスで明確に言えるのは、トランプ大統領の出現によって米国(米国民)は真っ二つに分断されたということでしょう。

トランプ大統領。政策的には賛同できる点も結構あったりするのですが、品性の欠片もない発言を繰り返し、大衆の潜在的な欲望や憎悪を剥き出しにさせることで、票の獲得(選挙の勝利)を目指す。それを国際政治の場にも持ち込む。その姿勢は、勝てば官軍、嘘も突き通せば真実になると言わんばかり。そんな風に見えてしまうのも私が既存のメディアにフェイクニュースを見せられ、洗脳されているからなのでしょうか…(苦笑)。

しかし私だけでなく「こんな状況が罷り通る世の中で本当に大丈夫なのか?」
今、世界の誰もが、そんな漠然とした不安を持っており、それが経済や市場に影を落としている側面もあるように感じます。


【マーケットコメント】
日米の主要株価指数が9月末に今年の最高値を更新し、46月期の好調な企業業績等を素直に評価する展開も束の間、10月は一気にリスクオフの状況になりました。

詳細は「金融市場の動き」でご確認頂きたいのですが、主な理由としては①米中貿易戦争の実体経済への影響、そして②米国金利上昇が国際金融市場に与える負のインパクト、この2点が表面化し始めてきたことによります。
それを受け、国際通貨基金(IMF)も2019年世界GDP成長率を+3.9%から+3.7%に下方修正をしました。

さて、このような逆風の状況の時に長期投資家はどのように考えるべきか?
これまでもたびたび(そして色々と)ブログで述べてきたところですが「なぜ長期的に経済は成長するのか?」「そしてそれに伴い金融市場も成長するのか?」という点について、改めて触れておきたいと思います。
簡単に言えば、経済成長とは「需要と供給が拡大していく」ということです。
人口が増えたり、寿命が延びたり、経済的に豊かになって購買力が増すことで需要は増加します。
供給力の拡大は、働く人の増加や、働く年数(時間)の増加、また技術革新等による生産性向上によってもたらされます。

そして、この「需要と供給の持続的な拡大活動(経済活動)」の中で、生き残った企業だけが持続的な成長を実現しており(その逆も真)、金融市場に存在し続けることができるのです。

だからその結果、金融市場は成長し続けることができるというわけです、

そんな企業群の集合体である株式市場ですが…、
過去20年で世界経済(GDP)は約2倍になり、世界株式市場(MSCIACWI)は約3倍になった。】

【今後20年の人口増加と生産性向上を考慮すると世界経済(GDP)は約2倍になることが予想されている。果たして20年後の株式市場は?】

しかし一方で、生き残った企業も、必ず途中で厳しい局面を経験しています。むしろ、それを乗り越え、さらに強くなっていくのが、長期にわたって成長し続ける企業の共通の特長です。

様々な環境変化を乗り越え、成長を実現していくプロセスにおいて、必ず企業業績にも波が生じます。それに伴い株価が大きく下落することもあるでしょう。しかし、そのような時期における経験こそが、後で振り返ると長期の成長の種になっているのです。
弊社が提供するファンドポートフォリオも、長期的に経済や市場の環境変化を乗り越え、持続的な成長を実現していく企業(有価証券を通じ)にアクセスすることを目的としておりますので、こちらも当然のように、何度か逆境という場面に出くわすことになります。

長期の成長を獲得するためには、何度か逆境を乗り越えていかなくてはならないというのが宿命なのだとつくづく思います。やはり長期投資は、人の人生になんだか似ていますね。

【金融市場の動き】

(10月末の長期金利) 
米国10年国債利回りは一時3.24%まで上昇。財政悪化(歳出拡大、減税等で2018年度は前年比で約17%赤字額が拡大)、足元の堅調な景気(79GDP+3.5%)、FRBの利上げ継続予測、米中貿易戦争(関税引き上げ)等による輸入物価の上昇が主な要因。

この金利上昇が引き金となり、10月の金融市場は一気にリスクオフに傾きました。その結果、逆に月末には金利が低下、米国10年国債は3.14%の水準に落ちつきました。
一方、ユーロ圏の79GDPが+0.6%(46月は+1.8%)まで低下しました。明らかに欧州の景気は減速してきております。また政情不安の度合いも増しております。ドイツ地方選挙で与党が大敗し、メルケル首相が時期党首選には出馬しないと表明、英国のEU離脱問題、イタリアのポピュリズム政権による財政問題(EUとの対立)等々、欧州の政治・経済の不安定な状況を反映して、安全資産であるドイツ国債の利回りは低下しました。

世界の長期金利
10
前月比
年初来
日本10年国債
0.13%
0.00%
0.09%
米国10年国債
3.14%
0.07%
0.74%
ドイツ10年国債
0.39%
-0.09%
-0.04%
英国10年国債
1.45%
-0.12%
0.27%


(10月末の日本株式)
日経平均は219958銭安(-9.1%)と大幅下落。先月までの上昇を一気に打ち消したかたちとなりました。単月の下落幅としては200810月のリーマンショック時(268288銭下落)以来、10年ぶりの下落幅になります。下落率で見ると20166月の英国EU離脱時の(-9.6%)以来の大きな下落率になります。しかし、日本の実体経済について言うと、今後、外需に関しては心配ですが、災害対策等のインフラ投資などの公共投資の増額も決定されており、内需は今後も堅調であることが予想されます。そういった意味では、日本株の割安度と安定度が、グローバル投資家にとって(相対的に)魅力的に映っているように感じます。

国内株式
10
前月比
年初来
日経平均株価
21920.46
-9.1%
-3.7%
TOPIX
1646.12
-9.4%
-9.4%
ジャスダック平均
3563.17
-7.0%
-9.8%
東証REIT指数
1745.97
-1.8%
5.0%


(10月末の先進国株式)

欧米、アジアの先進国株式も大幅下落。米国株式はかろうじて年初来のプラス圏を維持していますが、欧州・アジアの先進国は完全に昨年末比でマイナス圏に落ち込みました。
米中貿易戦争の影響が79月期になって、実体経済のマクロ面(GDPや景況感)、ミクロ面(企業業績)において出始めています。一方で米国経済独り勝ちから米国金利が一時急上昇したことで、新興国を中心に国際金融市場に米ドル高の悪影響も出始めています。

海外先進国株式
10
前月比
年初来
NYダウ工業30種
25115.76
-5.1%
1.6%
S&P500
2711.74
-6.9%
1.4%
ナスダック
7305.90
-9.2%
5.8%
FTSE100
7128.1
-5.1%
-7.3%
DAX
11447.51
-6.5%
-11.4%
香港ハンセン
24979.69
-10.1%
-16.5%


(10月末の新興国株式) 
ラジルでは「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ氏が大統領選で勝利し、次期大統領に決まりました。彼は大衆迎合のポピュリズム政治家ですが、その経済政策についてはブラジルの景気回復を後押しするものと期待されており、ブラジル株式、通貨ブラジルレアルが大きく上昇しました。一方でその他の新興国は、グローバル経済の減速、米国金利上昇を受けて、大きく下落しました。

海外新興国株式
10
前月比
年初来
上海総合
2602.78
-7.7%
-21.3%
インドSENSEX
34442.05
-4.9%
1.1%
ブラジルボベスパ
87423.55
10.2%
14.4%
ロシアRTS
1126.21
-5.5%
-2.4%


(10月末の商品市況) 

9月は米国とイランの対立による、イラン産原油の全面禁輸等の可能性が意識されて大幅上昇した原油価格ですが、10月は米国での原油在庫の増加が顕著であることから、一気に大幅反落となりました。国際情勢の不安から金価格は小幅上昇しましたが、米ドルが強いうちは、リスクオフ=金の買いという図式にはなりにくいかと思います。

商品
10
前月比
年初来
原油WTI先物(ドル)
65.31
-10.8%
8.1%
NY金先物(ドル)
1212.3
1.7%
-7.2%
CRB指数(ドル)
190.97
-2.1%
-1.5%


(10月末の為替市場)  黒字は円安、-赤字は円高

世界的なリスクオフの状況で、為替市場では、米ドルにグローバル投資資金が集中。しかしながら比較的安定した通貨として評価される円に関しては、ドルと同様に買われ、ドル以外の通貨に対して大幅上昇となりました。
為替
10
前月比
年初来
米ドル/
112.98
-0.6%
0.2%
ユーロ/
127.83
-3.1%
-5.5%
英ポンド/
144.22
-2.6%
-5.2%
豪ドル/
79.90
-2.7%
-9.1%
NZドル/
73.59
-2.3%
-7.9%
カナダドル/
85.87
-2.4%
-4.2%
スイスフラン/
112.01
-3.2%
-3.2%
南アランド/
7.65
-4.8%
-16.3%


以上