2021年4月14日水曜日

残念な話と感謝の気持ち

残念な話ではあるのですが、コロナショック後の世界株式市場の上昇局面も約1年になり、昨今、投資信託の利益確定売りをする投資家が多いように感じます(弊社でもわずかですがそのような動きが見られます)。

バリューマネジメントが提唱する長期投資の仕組みは、日々や単月や単年度の市場価格の上下変動を受け入れ、投資信託(ファンド)という箱の中で、税効果の高い複利運用を行い、長期的に資産を増加させるシステマティックなものです。

その仕組みの中で「優れた運用会社に活躍してもらいましょう!」と、彼らを信頼し長期的に資金を預けてくれた投資家の皆様の運用実績は、おそらく一般の投資家の想像を超えるものであることを(もちろん良い意味で)、弊社は商品選定を行うゲートキーパーとして、また個々のお客様の投資をサポートするファイナンシャルアドバイザーの立場から長年見てまいりました。

優れた運用会社が運用する投資信託の基準価格(設定当初は1万円)は、長年の運用実績と共に上昇し1万円から2万円(2倍)、3万円(3倍)、中には10万円(10倍)を超えるものまで存在します。しかし運用実績が良い投資信託の大半が、基準価格が上がれば上がるほど投資家に売却され残高の減少に見舞われてきました。

日本において優れた運用チームが、このような状況に陥るのを私は30年以上にわたって見てきました。改めてこの国の運用環境は、豊かさを生み出さない土壌であることを痛感します。いい仕事をすればするほど、資金を引き揚げられてしまった運用チームにも、いつもすまないなーという気持ちがなくなることは今だありません。

この1年の投資信託の売買動向をみても、昨年3月のコロナショック時には、まだまだ下がりそうなので売却したいと考えたり(そして実際、売却してしまったり)、そして1年後の今もまた、そろそろ下がるかもしれないので、このへんで利益確定をしたいと考えたり(やはり実際に売却してしまったり)するケースが結構あります。

当初は長い人生を豊かにするために10年、20年単位の投資を考えていたのに、たった1年の間に長期投資マインドを失ってしまう。このような事例はコロナが生み出した特別なケースではなく、その前の米中貿易摩擦、英国のEU離脱、とにかく何かしら世の中のイベントが起きる度に、私たちファイナンシャルアドバイザーが直面してきた問題です。

そして、その度に下記のようなことを何度もお伝えしています。

「短期の価格変動ではなく、長期的な資産成長に目を向けましょう!」

「当初の運用計画をしっかり守りましょう!」

「我々が選んだ運用チームがマーケットが下がっている時にも、将来を見据え優れた会社に投資をしてくれることを信じましょう、そして託しましょう!(それが投資信託の意味)」

「理由もなく頑張って運用成績を上げてくれている運用チームを解雇してはなりません!」(投資信託の基準価格が上がっているという理由だけで売却するというのはそういうこと)

このようなアドバイスにしたがって、長期投資マインドを堅持してくださったお客様には、「マーケットの成長+運用会社のスキルが生み出すアルファ」が、運用実績としてもれなく提供されてきました。

一方で、途中の短期変動が気になり売却してしまったお客様が、その後タイミングよくマーケットに復帰してきた事例を私たちは見たことがありません。

厳しい言い方かもしれませんが、短期の価格変動にばかり目がいく人は、目の前で見えていることしか見えない、信じないというマインドや習慣があるように感じます。

一方で長期投資を実践できる人は、一度決めたことを守り抜く精神力や、未来に対する想像力を有しているように感じます。個別の株式投資におきかえても「今はこの会社はピンチだけど将来はきっと良くなる」そんな想像力を発揮しなければ、本当の意味で安い価格で良い会社を買うことはできません。

個人的なことで恐縮ですが、いつ頃からか私自身、短期的な証券取引を一切やらなくなりました。短期取引は自分の利益の反対側に損失を被る人がいて、それがイコールで結びついているからです。要するに自分の幸福=他人の不幸という図式。

それに対して長期投資の成功は投資した会社の「成長の果実」を、株主・社員・取引先・地域・社会で分配(シェア)していくこと意味します。まさしく株式がイギリス英語でシェア(share)と呼ばれる所以です。

投資信託においても、私たちは良い運用会社をラインナップしつつ、お客様の人生設計や財政状況を考慮して長期投資計画を立てます。

お客様とファイナンシャルアドバイザーと運用会社。その三位一体のチームプレーが長期投資を成功に導くためにもっとも重要だと私は考えます。

お客様にも、投資ポートフォリオの運営管理の先に、私たちのようなファイナンシャルアドバイザーや運用チームがいるという想像力を持って頂けるとうれしいです。これは私たちの努力を理解してほしいから言っているのではなく、それを理解することがお客様自身の長期投資の成功確率をあげていくことになっていくから、敢えてお話しをしているのです。

日本の投資の土壌に「長期視点」と「信頼のネットワーク」を根付かせたい。現実はそれとは逆の力がITの便利さによって増幅しているように感じますが、バリューマネジメントは地道に諦めずに進んでいきたいと思います。

そして何だか突然ですが…(笑)、私たちの投資コンセプトにご賛同を頂いております弊社のお客様に、この場を借りて改めて御礼を申し上げます。

長期の視点を持ってバリューマネジメントと弊社パートナーの運用チームを信頼して頂き、いつも本当にありがとうございます。

これからも何卒よろしくお願い申し上げます!!

2021年2月25日木曜日

約1年ぶりにブログを更新します。

先日、私のブログを楽しみに読んでくださっていた方がいらっしゃるとお聞きしたものですから、約1年ぶりにブログを更新することにしました。

さて昨年の2/25(今からちょうど1年前です)、イタリア北部でコロナウイルス感染者が出たことを発端に所謂コロナショックと呼ばれる世界同時株安が始まりました。その後、3/24までの1ヵ月間、100年に一度と言われたリーマンショックとほぼ同時の速度で世界の株式市場は下落していきました。

当時の私が書いたブログを読みかえしてみると、コロナによる経済的打撃は、例えるなら外傷でありリーマンショックのような経済の内臓疾患ではないので、株式市場の下落もリーマンショック時のように長引くことはない。そんな内容のオピニオンを出しています。

「その予想は的中したかどうか?」と問われると、当たったとも言えるし外れたとも言えます。コロナショックからの経済の回復期間を考えると、流石に世界株式市場も全治2年くらいはかかると思っていましたので…。

しかし1年後の今日、例えば私たちに馴染みのある株式指標で見ると、日経平均株価は約30000円、NYダウも約32000ドル。

1年前、もし私が1年後に日経平均は3万円を超えると言ったなら、おそらく殆どの人は「この人、頭がおかしいのでは?」と思ったでしょう。

当時のことを思い返すと実際、そんな予想をすることは私を含め殆ど不可能だったのではないでしょうか?逆にもっと下がるから、一度売った方がいいのではという相談を多く受けたくらいです。

結果的にコロナショックによるマーケットの下落が1ヵ月で終わったのは、コロナから国民の命を守るために、世界の主要国政府・中央銀行は躊躇なく金融・財政政策をフル稼働させたからです(コロナとの戦争に打ち勝つため)。※残念ながら個人的には、日本政府の動きには疑問を抱くことになってしまいましたが…。

そして、株式市場が予想を超えて上昇した要因は、コロナが多くの人命を奪い私たちの生活を不自由なものにした一方で、デジタル化投資(DX)、脱炭素を中心とした社会的責任投資(ESG)等、今後の世の中の進化・発展に必要不可欠と思われていたイノベーションを加速させたからです。

その結果として、世界の株式市場はこの1年間で大きく上昇しました。後になって振り返れば、このような理由づけをするのは簡単ですが、1年前は悲観的なニュースしかなくほぼ予測不可能だったと思います。

「さてそれでは、今後の株式市場はどうなっていくのか?」と問われるなら、1年前と同様、どうなるかわからないというのが正直なところです。

コロナショックでまたしても学んだことは、足元の社会経済で起きていることから、将来の金融市場を予測することは困難であるということです。

現在の状況を見ると、ビットコインや一部のIPO銘柄、スタートアップ企業の価格水準は、明らかに金融緩和によるバブルと言っても差し支えないかと思います。この事象だけをみてまたバブルだから長期投資ポートフォリオを一回売却した方がいいのではないかと思う人も出てきそうですが、それはやめておいた方が賢明でしょう。それは1年前にもっと下がりそうだから売った方がいいのではないかという投資家心理と根本的には同じものだからです。

30年以上資産運用の仕事をしてきて断言できるのは、短期予測や不安心理によって為される投資行動は人生を真の豊かさから遠ざけるということです。

長期投資家は短期の価格変化ではなく長期の価値創造にフォーカスすべきです。

各国政府の財政政策の変化(MMT的)、DX、ESGという社会経済、企業活動のメガトレンドが、本格的な潮流になりつつあります。例えば日本電産の永守会長はガソリン車から電気自動車や水素燃料への変化はこれから50年にわたる大きな潮流であると発言しています。

これらのメガトレンドが存在することは、長期投資家にとってまだまだ成長の果実が多く存在することを意味します。

短期的な予測は見通せませんし、毎年のようにマーケットは高値からみると10%~20%は普通に下落しています。これらの短期変動を所与のものとし、長期の成長の果実を時間をかけて収穫していく。そんな長期投資の視点を共有してくださる投資家を、この日本でもっと増やしていくためにも、流石にもう少しブログを更新しなくては…(苦笑)。

2020年3月5日木曜日

コロナショックについて

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、
先週(2/24~28)の世界株式市場は記録的な下落となりました。

先々週までの金融市場の動きをみると、
新型コロナウイルスは中国を中心としたアジアの一部地域で拡大するものの、
4月くらいにはピークを打ち収束していくというのがメインシナリオだったかと思います。

しかしイタリアにおける感染拡大の報道を境に、状況は一変しました。

特に今まで最も堅調だった米国市場でも、
NYダウが週間で3583.05ドル安と過去最大の下落幅となり、
下落率も12.4%とリーマンショック以来の大きさとなりました。

為替市場でも円ドルレートが111円から107円台へと円高が進捗しました。
米ドルの対円下落率が約3%とすると、
日本の投資家にとって先週は三連休明けで4日しかない営業日の中、
NYダウ(円ベース)は約15%下落したということになります。

現在(今週に入って)、一方的な下落には歯止めがかかっていますが、
相変わらず不安定な相場環境は続いており、
また日本国内の社会・経済の現状を考慮しても
まさに「コロナショック」と言っても過言でない状態です。

国内外で新型コロナのパンデミックが拡大し、
社会経済が破たんするのではという不安から、
さらなる株価の下落等、金融市場もリーマンショックと同様、
もしくはそれ以上のことになるのではという悲観シナリオをもつ投資家もいるかもしれません。

しかし、私の考えは「そうはならない」です。

リーマンショックは金融機関の破たんから信用不安が起き、
経済の血液であるマネーが目詰まりを起こし、心臓が止まりそうになった内臓疾患でした。

よって健康体になるまで相当なリハビリと時間を要したわけですが、
今回のコロナショックは突然、暴漢に襲われて殴られ骨を折って動けなくなってしまった。
そんなイメージの外傷と捉えています。
よって適切な治療を施せば、立ち直りも早いと推測しています。

勿論、感染症による経済の混乱を甘く見てはなりませんが、
一方で資産運用という側面で見るなら、
特に長期投資家がこの事象をあまり悲観的に考えすぎない方がいいというのが
私の考えです。

2020年2月29日付、日本経済新聞(朝刊)のコラム「大機小機」で
「新型コロナ、リーマン級だが一過性」という記事がありました。

記事の要約をすると…
①これから2020年1-3月期の深刻な経済実態が明らかになっていくだろう。
②特に日本経済は厳しい。インバウンド需要が減少、中国経済減速で輸出減少、中国の生産停止等でサプライチェーン(供給網)混乱、外出やイベント自粛による内需の減少。
③ただどう考えても一過性のショックなので、一旦感染が収まればV字回復となる。

この記事の要約をみて、あまりに楽観的な見通しと感じる方も多いかと思いますが、
私個人としては、ほぼ同じ見方をしています。

「一昨日、米国FRBが0.5%の緊急利下げを実施しました。」
金融緩和だけですぐに経済状況が改善されるわけではありませんが、
新型コロナの治療薬やワクチン開発、
集団感染を防ぐ様々な取り組みの等の効果が出始めた時には、
潤沢なマネーが割高感がなくなった株式市場に再び戻ってくる可能性が高いとみています。

弊社が考える長期投資では、
10年単位の世界経済成長を自らの資産に取り込んでいくことに
フォーカスしていくわけですが、それに付随して、
様々な要因から起きる下落局面を何度も経験していかなければなりません。

「長期成長(リターン)にフォーカスし、短期変動リスクは受け入れる。」

言葉でいうのは簡単ですが、実際にはなかなか難しいというのが人間心理です。
だからこそ、このような時こそ、
私たちのようなファイナンシャルアドバイザーの仕事があるのだと考えます。

今回のコロナショックも、過去の経済ショックと同様に、
お客様と一緒にしっかり乗り越えていきたく思っております。

そして、何度も危機を乗り越えた投資ポートフォリオこそが、
将来的に真の価値ある資産(将来キャッシュフローを生み出す)になるというコンセプトを、
今回さらに強固にする機会としたいとも考えております。

2020年1月31日金曜日

2020年

皆さん、ちょっと遅くなりましたが本年もよろしくお願い申し上げます!
※年明けから何かと忙しく、ブログを書く時間と気持ちの余裕が不足しておりまして、
という苦しい言い訳をしつつ…(苦笑)。

さて2020年は日本にとって、東京オリンピックが開催されるなど特別な年になりそうですが、年初から米国とイランの確執激化・新型コロナウイルス問題等で、金融市場はかなりの荒れ模様となっています。

今まさに、国家間の地政学リスクや天災・疫病リスクがマーケットの話題を独占していますが、これらのリスクは歴史的に頻繁に発生しているリスクであるということを忘れてはなりませんし、残念ながら今後もこの種のリスクが世の中から消えることはありません。

しかしポジティブな側面から見ると、世界経済・社会は様々な問題を(完全とは言えないまでも)その都度克服してきたという事実があります。

そしてその問題解決力自体が経済や社会の進化を促進しているという面があることも理解しておかねければなりません。

2020年も当ブログでは長期投資に必要な投資家マインドを醸成すべく、その時々の社会経済の個々の点の情報を「点から線へ、線から面へ、面から立体的に」と俯瞰しながら、書いていこうと思っております。

また個人的には、今年からブログでの四半期経済観測を止めることに致しました。

これは上場企業の四半期決算においても言われていることですが、
四半期決算になってから多くの経営者が短期志向になってしまったいうことに近い理由からのことです。
(もう四半期決算を止めた方がいいという意見もあるくらいです。)

長年私も、年金基金や金融機関等の機関投資家が、運用会社から丁寧な四半期報告を受けている様子を見て、個人投資家にもそのようなキメ細かな同様のサービスを実現したいと考え行動してきましたが、それが逆に個人投資家のストロングポイントを消してしまう結果を招きかねないということを、年々強く感じるようになりました。

個人投資家が機関投資家と異なり優位な点は、四半期毎、1年毎の決算における損益を意識しないで、長期的に構えることができるところです

それなのに機関投資家と同じ視点と時間軸で行動をしてしまっては、機関投資家と比較して情報劣後にある個人投資家が、マーケットでいい運用成績があげられるはずがありません。(要するに四半期毎の損益を気にしたところで、いいことは何もないということです)。

そんな思いから、長期投資をサポートするための当ブログにおいては、より人生を豊かにするための長期投資の考え方であったり、地球上のどこに将来の成長機会があるのかといったようなことについて、私の視点から、無理のないペースで愉しく書かせて頂けたら、これ幸いと思う次第です。

最後に私事で恐縮ですが、1990年から30年間、資産運用の仕事に携わり今年4月から31年目に突入します。

過去30年間積み上げてきたものは意識せずとも必要なものは残ると信じ、
意識としては1990年当時、何の知識もないが挑戦する気持ちだけがあった新人時代に戻って、
2020年からのこれからを「挑戦する心」をもって愉しく生きていきたいと思っております。

どうぞ引き続きよろしくお願い致します!!







2019年12月31日火曜日

2019年大晦日に

弊社のお客様、お取引先等の関係者の皆様、
本年も誠にありがとうございました。

さて2019年は不況下の株高となり、
実体経済と金融市場のベクトルは逆に動きましたが、
この動きに多くの方が意外な感じを持ったのではないでしょうか?

特にビジネスの最前線で活躍されている皆様は、
ご自身の感じている実体経済と金融市場の温度差(ギャップ)から、
そのうち株式市場も下がるだろうと見ているうちに、
(巷の状況を見るに)投資タイミングを逸してしまった方も多いように感じます。

個人的には、このような展開においても、
「短期変動を受け入れ長期の成長を獲得する」という長期投資コンセプトが
実に有効に働いたことを、改めて実感した2019年となりました。

教訓:資産運用においては予測を当てるより原理原則に基づくことの方が重要である。

それと個人的に昨今大変気になっているのが、
「株式売買手数料や投資信託の販売手数料の無料化」の動きに拍車がかかってきていることです。

ネット証券を中心に、他社が手数料を下げたら自社も下げなければ競争優位を保てない
といったコスト競争の動きが急速に表面化してきました。

このことに関連して、2019年12月13日付日経新聞(夕刊)のコラムで、
なかなかいい事を言うなーという記事がありましたので、少しご紹介をさせて頂きます。

■コラム十字路「タダより高いものはない」。
(記事から一部抜粋および要約)

手数料の無料化で懸念されるのは、証券各社のコストの回収方法だ。
低コスト経営のネット証券でも当然システム開発にお金はかかる。
よって外から見えない形で元を取る動きがでてもおかしくはない。
あるネット証券が株の売買執行の仕組みを変更したのを利用し、
高速取引(HFT)業者が個人の注文先回りして利益を狙う動きが表面化したばかりだ。
(以上)

この記事の要約を簡単に例えるなら、カジノの入場料はタダにしてお客さんを集め、
勝負において、お客さんをカモにするという仕組みといった感じでしょうか?

上記のコラムでは、株式売買手数料について言及していましたが、
投資信託においてもネット投資家の販売手数料無料化の動きが加速しております。

ちなみに運用期間中に継続的にかかる信託報酬は変わりませんし、
私たちのようなファイナンシャルアドバイザーが担当につく場合は、
販売手数料は今までと変わらず有料です。
また販売手数料の無料化の代わりに助言手数料を付加するケースもあります。

さて、この無料化については、投資家ファーストのような感じで称賛する報道が多く、
投資家にとっても大変良い事のように言われていますが、
果たして本当かどうかは疑問です。

このことが投資家の運用成績を向上させるかどうかは
「実はかなり怪しい」と私は思っております。
と言うより、むしろ悪くさせる危険性があることを指摘しておきたいです。

販売手数料の無料化は、安易な投資信託の売買につながる可能性があるからです。

売買をしても手数料がかからないので、
「とりあえず一度売って、また下がったら買おう」
そんな投資家心理に拍車をかけることになることは容易に予測ができます。

それが上手くいけばいいのですが、おそらく難しいでしょう。
「安く買って高く売る」
それを長期にわたってタイミング良く繰り返すことなど奇跡に近いことなのですから。

加えてこのことは運用会社の運用にとってもネガティブに出る可能性を秘めています。
運用中に資金の出入りが激しくなる可能性があり
目には見えない運用のロスになりかねないからです。

適正なコストを支払い、日本ではまだまだ数は少ないですが、
真の専門家と言えるファイナンシャルアドバイザーの助言を得ながら、
投資の原理原則に基づいて資産運用を行う方が
実際の成功確率が高くなると、個人的には確信しております。

金融商品の無手数料化の動きに代表されるコスト競争は金融業界だけでなく、
現在様々な業界で起こっている事象だとも言えます。

各業界で事業者はAIやデータを駆使してコスト競争を仕掛けていますが、
実際のお客様サイドの世界では「お金は払うから、いいサービスを受けて満足したい!」
そんな考えを持つ方は思った以上に多いです。

AIやロボットは生産性や顧客満足度向上におけるツールであり、
それを使うこと自体(もしくはそれを使って単なるコスト競争をすること)が、
目的化しては、世の中あらぬ方向に行ってしまいます。

「タダより高いものはない!」
改めて多くの投資家にお伝えしたい言葉です。

さて今年最後のブログとなりましたが、2020年以降も弊社と致しましては、
しっかりとお客様から頂く手数料以上の付加価値を生み出していくよう、
頑張ってまいる所存です。

それでは皆様「良いお年をお迎えください!」
そして「来年もよろしくお願い致します!!」

2019年11月28日木曜日

フォーカスすべきこと

2019年も残すところ約一ヵ月となってまいりましたが、
今年の世界株式市場は予想外の堅調さを保っていると言えるでしょう。

12月には「英国総選挙」「米中貿易問題の第一弾合意がなるかどうか」等、
マーケットを大きく揺るがせかねない政治イベントが控えていますので、
場合によっては、昨年12月と同様の大きな調整がないとも限りません。

しかしながら年間を通してみると、世界的な金利低下による金余りと
米国を中心に「思ったよりは悪くない企業業績」との組み合わせが、
昨年、大きく下落した株式市場を反転・上昇させたということだったのでしょう。

このままいけば…、今年の株式市場のパフォーマンスは「かなり良かった」
という結果になりそうではあるのですが、自分自身の肌感覚では、
巷の投資家の運用成績はそんなに良くないのではと感じています。

世界の政情不安(特に米中貿易問題)、景気後退に対する不安、不規則な株式市場の変動、
その他トランプ大統領のツイッターとかもそうですが、
製造業の設備投資が、米中問題の先行き不透明を理由に身動きがとれず様子見になったのと同様に、
個人投資家も機関投資家も総じて投資マインドが盛り上がってこなかった1年だった気がします。
要するに「マーケットの上昇に乗れなかった投資家の数多し」ということです。
※ソフトバンクもウィーワークへの投資で大赤字を出していましたね。

私も資産運用の世界で30年近くマーケットと向き合ってきましたが、
本当に株式市場の動きを予測するのは難しいと感じますし、
資産運用において「マーケット・タイミング」にフォーカスしすぎる弊害というのも
年々強く感じるようになってきました。

ちなみに今年の動きは、2017年にとても良く似ている気がします。
実は2017年は世界株式インデックスMSCIAC(円ベース)は約20%も上昇しましたが、
日本経済新聞の投資家調査では、実際にプラスのリターンを出した投資家の比率は約60%。
逆を言えば、実に約40%の人はゼロもしくはマイナスに終わっていたのです。

実はこの例は珍しいことではなく「この世界でしょっちゅう起きている現象」なのです。

日々の変動に一喜一憂して無駄な売買をしたり、ちょっとでも安い価格で買いたいと様子を見ているうちに投資をし損なったりということが、主な原因と考えられます。(企業の本源的価値より割安で買うのはバリュー投資という立派な投資手法だが、単にタイミングで安く買いたいという場合、ここには他人を出し抜きたいという気持ちが潜んでいるからなのか、なぜか裏目に出やすい。)

短期変動(リスク)を受け入れ、長期の成長(リターン)を獲りにいく「長期投資のスタンス」をベースに置くことが、やはり個人投資家の投資戦略の王道であることを、2019年の相場も2017年同様に教えてくれたような気がします。

私たちがお客様(特に現役世代の皆さん)にご提案する資産運用で、フォーカスすべきは、目先の価格変動で得した損したなどということではなく、将来キャッシュフローを生み出す良質な投資ポートフォリオをつくること」にあります。

本当に怖いのは目先の価格変動リスクではなく、将来の経済基盤となるキャッシュフロー(収入)が細っていくリスクであるという問題意識を、毎年積みあがっていく有り難いマーケットからの教訓と共に肝に銘じつつ、あと1ヵ月を過ごしていきたいと思います。

急に寒くなってきましたので、皆さんもくれぐれも健康に気をつけて師走に向かってください!
それではまた。

2019年10月16日水曜日

マーケットレビュー(2019年7-9月)

【全体観および私見】

201979月期の「世界の社会・経済・金融市場」を振り返ります。

資産運用の観点から、この四半期で最も大きなニュースは7/31に米国で10年ぶりに利下げが行われたことだと思います。ちなみに9/18にもFRB2度目の利下げを断行しました(各0.25%×2回=0.5%)。

日欧の長期金利がすでにマイナスゾーンに突入するなか、経済状況が比較的良好である米国が利下げに動いたことで、高格付けの債券の金利は消滅しかかっていると言っても過言ではないでしょう。
安全資産の金利がゼロ以下の金融環境は、金融業、資産運用業に大きなインパクトを与え、今後のビジネスモデルの大転換が余儀なくされていることを示唆していると捉えられます。

実体経済面では6月の大阪サミットで行われた米中首脳会談を機に再開された貿易協議が不調に終わり、8月に入ってすぐにトランプ米大統領は「対中制裁第4弾」を発表しました。
これで米国への中国からの輸入品ほぼ全てに高関税が課せられ、平均20%を超える水準に達することになりました。

米中貿易戦争が始まって1年が過ぎますが、それまで米国における中国製品への平均関税率が約3%くらいだったことを考えると、多くのグローバル企業がサプライチェーンの見直しをし始めたのも当然です。

また米中貿易戦争は当初、中国の景気後退につながり、その他の国・地域に波及していきましたが、とうとう米国経済にも(特に製造業を中心に)影を落とし始めており、今後の世界経済の不安材料となっています。

結果として、7-9月の株式市場は金融緩和(株式市場にプラス)と景気減速(株式市場にマイナス)の綱引きで、ほぼ横ばいとなりました。

このように何となく不安になってしまう国際政治やマクロ経済の現状ではありますが、そこだけに目を取られていては投資機会を逃してしまうことになりかねないことに、私たち長期投資家は留意しておかなければなりません。

実際、世界経済の事実(FACT)に目を向けてみると、成長の芽はあちらこちらで静かに着実に育ってきているよと感じます。

昨今の不安定な世界情勢の中、長期投資家は今一度、そのことをしっかり理解しておかなければならないのだと思います。



20197月-9月の注目ニュース】

7/3  NYダウ平均が9ヵ月ぶりに史上最高値を更新。
7/5 景気減速下の利下げ期待(金融相場)で、英独仏の株価指数が年初来高値を更新。
7/17 米主要500社の46月期の純利益は3%減の見通し(2期連続減益)。
7/18 米中貿易摩擦から約1年、世界主要企業は生産拠点を中国外に移す動きを加速させる。
7/19 米マイクロソフトの46月期決算はクラウド好調で純利益49%増(過去最高)。
7/19  M&Aに絡む損失が2018年度は世界で約1550億ドルと前年比で66%増加。
7/19  G7財務相・中銀総裁会議はデジタル通貨リブラに対して最高水準の規制を要求。
7/21 世界全体でATMが減少、キャッシュレス決済が急速に普及。
7/21 仮想通貨の流出被害が止まらない。今年13月世界で約12億ドルの被害。
7/22 参議院選挙の議席確定。与党は改選過半数63を上回る71議席(改憲2/3には届かず)。
7/31 世界でマイナス金利の債券が残高ベースで13兆ドル(1年前比で倍増)。
7/31 FRB10年ぶりに利下げ(0.25%引き下げ年2%~2.25%)を実施。

8/2  就活情報「リクナビ」が学生の同意を得ず「内定辞退予測」を販売していたことが判明。
8/2  トランプ米大統領が「対中制裁第4弾」を発表(7月末の閣僚協議が不調に終わる)。
8/5  週明けのNYダウは767ドル安と今年最大の下げ、世界同時株安。
8/12 ESGROEから持続的に収益をあげる企業を算定すると欧米勢が8割を占める。
8/13 中国の人民武装警察部隊が香港との境界に集結(デモ激化)。
8/16  メルカリ疲れ(ネット疲れ)でブックオフ(リアル店舗)が復調の動き。
8/19 米欧の労働市場でも日本と同様の人手不足の様相。省力化ニーズは拡大。
8/20 米国の設備投資が減速、6月コア資本財の受注は24ヵ月ぶりにゼロ成長。
8/20  中国が測位衛星(位置情報サービスに活用)の数で米国を上回ってきた。
8/24  かんぽ不正問題で、郵政3社の時価総額が201512月のピーク比で半減。
8/26 アフリカで起業熱高まる(一気に技術革新が進むリープフロッグ現象を伴う)。
8/28 5年に一度の年金財政検証が行われ、年金額の所得代替率が確実に低下する将来像が示される。
8/31  米ネット通販業界でアマゾンに挑む個性的な新興企業群が台頭。

9/1  米トランプ政権は1日、中国製品への制裁関税第4弾を発動(関税率は平均20%を超える)。
9/2  環境規制・ESG投資への対応で、航空機・船舶の電動化の動きが世界で進みつつある。
9/10  米中貿易戦争を横目に、米大手運用会社の中国進出が止まらない。
9/10  米トランプ大統領が強硬派のボルトン大統領補佐官を解任。
9/13  欧州中央銀行が3年半ぶりに金融緩和に踏み切る(201812月に量的緩和終了)。
9/13  大手食品・化粧品メーカーが通販サイトを介さず、ネットでの直販を模索し始めている。
9/14  サウジアラビアの油田が無人機による攻撃を受け生産が日量570万バレル減少。
9/16  中国のスマホ決済額が年間3000兆円近くに拡大(日本は2018年度1.1兆円)。
9/16  米国シェアオフィス「ウィーカンパニー」のIPO延期、ユニコーン熱狂に転機。
9/17  企業価値の源泉は有形資産(人、モノ)から無形資産(知識)へ(約8割が無形資産)。
9/18  日立はIOT事業(ルマーダ)の世界展開のため新会社を米国に設立。
9/18  米FRB7月に続き、0.25%の利下げ(→年1.75%~2%)に踏み切る。
9/21  ロボアドバイザー大手のお金のデザインが独立系金融アドバイザー(IFA)を支援。
9/26  日米、貿易協定で合意(農産品や米国牛肉の関税はTPP水準、車の追加関税回避)。
9/27  米議会下院はトランプ大統領のウクライナ疑惑に関し国務長官を召喚(弾劾調査)。


【金融市場動向(2019年7-9月)】
世界の長期金利
6月末
9月末
3ヵ月変化
日本10年国債
-0.17%
-0.22%
-0.05%
米国10年国債
2.00%
1.66%
-0.34%
ドイツ10年国債
-0.33%
-0.57%
-0.24%
英国10年国債
0.82%
0.48%
-0.34%
国内株式
6月末
9月末
3ヵ月変化
日経平均株価
21275.92
21755.84
2.3%
TOPIX
1551.14
1587.80
2.4%
ジャスダック平均
3405.61
3379.39
-0.8%
東証REIT指数
1938.82
2177.18
12.3%
海外先進国株式
6月末
9月末
3ヵ月変化
NYダウ30種
26599.96
26916.83
1.2%
S&P500
2,941.76
2976.74
1.2%
ナスダック
8006.24
7999.34
-0.1%
FTSE100
7,425.63
7408.21
-0.2%
DAX
12,398.80
12428.08
0.2%
香港ハンセン
28542.62
26092.27
-8.6%
海外新興国株式
6月末
9月末
3ヵ月変化
上海総合
2978.88
2905.19
-2.5%
インドSENSEX
39,394.64
38667.33
-1.8%
ブラジルボベスパ
100,967.20
104745.32
3.7%
ロシアRTS
1,380.52
1333.91
-3.4%
商品
6月末
9月末
3ヵ月変化
原油WTI(ドル)
58.47
54.07
-7.5%
NY金(ドル)
1409.7
1465.7
4.0%
CRB指数(ドル)
181.04
173.94
-3.9%
為替
6月末
9月末
3ヵ月変化
米ドル/
107.81
108.10
0.3%
ユーロ/
122.59
117.81
-3.9%
英ポンド/
136.91
132.89
-2.9%
豪ドル/
75.70
72.95
-3.6%
NZドル/
72.40
67.73
-6.5%
カナダドル/
82.32
81.60
-0.9%
スイスフラン/
110.46
108.27
-2.0%
南アランド/
7.66
7.14
-6.7%