2017年12月29日金曜日

今年もありがとうございました!

今年も色々とありましたが、最後に2017年を振り返り、個人的な出来事や思うことを書き留めておきたいと思います。


①長寿化について

2016年の終わりごろに、ライフシフト~100年時代の人生戦略~(リンダ・グラットン)を読んで、今まで漠然と80歳くらいまでを想定していた自分の人生を、100年にシフトしてみたところ、色々と物事に対する考え方が変化した気がします。

本当のところ自分がいつ死ぬかなんてわかりませんが、100年生きることをベースに思考していくと、結構ワクワクします。きっと自分は根が楽観的なのかもしれませんね(笑)。

そして、その流れで自分の仕事を考えると、資産運用(投資)も短期志向の投機(ギャンブル)ではなく、より長期の人生設計の中に組み込まれていくのは必然だと思いますので、皆さんの人生の豊かさに貢献する資産運用サポートをコンセプトに、引き続き頑張っていく所存です。

ところで今年一番うれしかった出来事として、生まれたばかりの0歳のかわいいお客様ができたことを挙げたいと思います。これはお父様の長期投資に対する深い理解があってのことですが、証券口座を開設し、毎年積立投資をすることになったのです。これから私の最年少のお客様の積立資産がどのように成長していくのかすごく楽しみです。当然、私自身が最後まで見届けることはできませんが、未来への投資の仕組みを創れたことを本当にうれしく思います。



②人口減少について

12/22に厚生労働省は2017年の人口動態統計の年間推計を発表しました。2017年に生まれた赤ちゃんは94.1万人でした。前年の2016年に初めて出生数が100万人を割り込み、97.7万人となったわけですが、そこからさらに3.6万人の減少です。ちなみに2017年の死亡数は戦後最多の134.4万人となり、人口は40万人も減少しました。

今後もこのトレンドは止まるどころか加速しそうです。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口2017」によると、2040年(22年後)の日本の人口は1億1092万人になるそうです。これは2015年比で1618万人減ということになります。

1618万人と言えば、現在の九州の人口(約1300万人)+四国の人口(約380万人)に匹敵する数です。22年後に九州と四国がなくなるくらいのインパクトがあるという認識が必要かと思います。しかも同期間(2015年→2040年)に、65歳以上の人口は3387万人→3921万人となり、534万人も増加します。

これらの問題が、社会・経済にどのような影響を与え、それがまた金融市場にどのようなかたちで映し出されていくのか、長期の視点で観察することで、適切な資産運用を実現していきたいと思います。



③AI・ロボットについて

前回のブログでも、2017年は大きな変わり目だというお話しをするなかで、AI・ロボットについてもとりあげました。AI・ロボットの実用化は、先ほど挙げた①長寿化と②人口減少と深くリンクしています。テクノロジーの発展だけでなく、そこに大きな需要があるからこそ、これらのテクノロジーを背景とした製品やサービスが実現化していくステージに入ってきたのです。

ところで、このAI・ロボットは人間を幸せにするかどうかという議論がありますね。囲碁や将棋やチェスなど、一定の決まったルールの中で行われるゲームに関しては一流のプロもAIに勝てなくなってきました。様々な業界でAIやロボットが人間の仕事を代替することが想定されている中、人間の我々は何が強みで何を為していくのか?真剣に考えなくてはなりません。



④個人的なことですが…

個人的なことで恐縮ですが、私は間もなく50歳になります。そしてこれも個人的な感覚ですが、昔は人生50年だったと勝手に解釈をしています(笑)。

「人間50年、下天のうちにくらぶれば、夢幻のごとくなり」(織田信長が好んだ能「敦盛」より)

「旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる」 (松尾芭蕉が50歳で詠んだ辞世の句)

織田信長も松尾芭蕉も50歳で人生を終えました。しかし現在を生きる私たちは、体の健康とお金の健康を維持していけば、豊かな100年人生を実現する可能性が広がってくるかと思います。これは個人的にもそうですが、まさしく人類の挑戦だと思います。私もお客様と共に頑張ってまいります。

そして最後にもうひとつ、

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 」(松尾芭蕉)

奥の細道の旅の中で、山形県の立石寺で詠んだ有名な句です。ふつう蝉の声はうるさいのですが、その蝉の声が、その背景にある自然や宇宙の閑さ(しずかさ)を鮮明にしたのだと言われます。

この句を果たしてAIやロボットは詠めるでしょうか?松尾芭蕉が探求の旅路の中で、人間としての様々な経験と研ぎ澄まされた感覚をもって詠んだ句だからこそ、時代を超えて人々を感動させるのだと思います。

そんなことを考えつつ、本日で2017年の仕事を締めたいと存じます。

皆さん、本年は本当にお世話になりました。良いお年をお迎えください。そして2018年も引き続きよろしくお願いいたします!!

2017年12月14日木曜日

時代の変わり目 2017

今年のクリスマス商戦で一番気になるのが、電車の吊り広告等でよく見かけるグーグルホーム。いわゆる「AI(人工知能)スピーカー」とか「スマートスピーカー」と呼ばれる商品です。競合としては、アマゾンのエコーやラインのクローバ・ウェイブが挙げられますが、個人的にはグーグルホームが目立っている気がします。

「OKグーグル、●●して!」とお願いしたら、何をどこまでやってくれるのか詳しく知りませんが、何だか昭和の親父が「おーい、お茶」と奥さんにお願いするのに似ています(笑)。これらの商品、昨年のクリスマスの頃は全く目にしなかったのですが、今年から急に続々と出てきました。

今後、本格的な人口減少・少子高齢化社会が到来し、専業主婦の比率が減り共働きが主流になる中、職場だけでなく家庭の人手不足もAIやロボットが代替していく。そんな近未来の始まりを予感させる出来事です。

最近もう一つ気になっているのがブロックチェーン(分散型台帳)です。専門分野ではないので細かい技術的なことはわかりませんが、金融機関を介さず、ユーザー 同士でシステムを管理しあう分散的な構造が、未来の金融サービスを大きく変えていく技術であるということは理解しています。特に金融決済、契約・証明(特に不動産取得等)等で破壊的イノベーションが起きそうです。

ブロックチェーン(分散型台帳)を活用した最初のイノベーションがビットコイン(仮想通貨)ですが、ビットコインの価格は今年10倍以上の値上がりを見せ、市場は完全に博打の場と化しています。しかも日経新聞の報道によると、世界のビットコイン取引に占める日本人の割合は40%(日本人が博打好きな民族なのか、それとも金融リテラシーが低いのか、理由は定かではありませんが…)。

この状況を見ると、以前の為替先物市場(FX市場)を思い出します。金融知識もない素人の主婦が大量にFX取引を行い、世界で「ミセス・ワタナベ」と揶揄されていた頃の光景(最終的には大損した…)を見ているようです。同様に、未来のどこかのタイミングでビットコインバブルが弾けるのは必然だと思いますが、その背景にあるブロックチェーンの技術は世の中を大きく変えていくでしょう。

私としては2017年を、AIスピーカー、ブロックチェーン等の世の中を変えていく技術が、製品やサービスとして本格的に出てきた元年として記憶しておきたいと思います。

資産運用においても、「金融市場の短期変動」や「中期的な景気循環」を超える、これらの技術革新や世の中の構造変化を理解しておくことが大切です。

とは言っても、それに乗せられてAIファンドやロボットファンドといったテーマ型ファンドに投資をすることにはご注意を!ビットコインを買うのと本質的に変わらない投資マインドになっている可能性もありますので。

2017年12月5日火曜日

マーケットレビュー(2017年11月)

当ブログ「長期投資の視点」では、毎月初めに、先月の社会・経済・金融で起きたことのレビューを行うことにしております。実はこれ、私が証券業界で仕事を始めた頃から、かれこれ25年くらい続けて習慣化してきたことでして、このようなフレームワークで考え続けることで、自分なりに社会や経済や金融といったものを俯瞰してみる眼を養っています。それを皆さんと共有できればと思っております。是非お試しください!

■2017年11月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済・金融)

1日 日銀は31日の金融決定会合で、大規模緩和の維持を決定。
1日 ユーロ圏の7-9月期GDPは年率+2.4%、雇用・消費堅調。
1日 米FOMCは現状維持、来月利上げ、新FRB理事長にパウエル氏。
1日 第4次安倍内閣発足。12年ぶりに全ての閣僚再任。
2日 英中央銀行は政策金利を10年ぶりに引き上げ(0.25%→0.5%)。
3日 米国の10月雇用数は26万1000人増加。予想+32万人は下回る。
3日 米国の非製造業景況感指数が60.1と高水準(2005年8月以来)。
5日 トランプ大統領が初来日。
7日 日経平均が1992年以来、25年10ヵ月ぶりに高値(22,666円)更新。
9日 日本の経常黒字が10年ぶりの高水準へ、訪日客で旅行黒字最高。
13日 みずほFGが人員・店舗数の削減を柱とする構造改革を発表。
15日 日本の7-9月期GDPは年率1.4%増、外需が牽引で7期連続プラス。
15日 日経平均が6日連続下落。海外ファンド決算で利益確定売り拡大。
16日 日本企業の18年3月期の純利益は17%増(25.6兆円)で過去最高。
16日 米下院は連邦法人税率を35%→20%の下げる法案を可決する。
19日 ドイツ3党連立協議が決裂。メルケル首相窮地に。
20日 日本の10月貿易黒字は前年同月比で+14%。中国向け輸出好調。
22日 政府は中小企業の事業継続を後押しする相続税優遇する方針を公表。
22日 政府は天皇陛下の退位を19年4月30日、新元号を翌5月1日と公表。
24日 英国で個人消費の減速が鮮明に。EU離脱、通貨安が重荷に。
24日 日本株式市場で中国関連株が軒並み下落。中国の金融引き締め懸念。
25日 コンビニ試練、客数伸びず。既存店は20カ月連続で客数減少。
26日 7-9月の世界の貿易量が前年比+5.1%と6年半ぶりの高い伸びを示す。
27日 中国が「影の銀行」と呼ばれる理財商品販売の規制強化に踏み切る。
27日 日本経済の7-9月の需給ギャップは+0.5%。3四半期連続プラス。
29日 世界の半導体市場、IOTで急拡大。2018年は16年比で3割増予測。
29日 北朝鮮が新型ICBMを発射。米国の首都ワシントンを射程圏内に。
29日 米ダウ平均は4日続伸も、ハイテク・ITは利益確定売りで総崩れ。



■2017年11月の金融市場の動き

【11月末の長期金利】

日本10年国債  0.04% 前月比-0.03%  年初来 -0.01%
米国10年国債  2.41% 前月比+0.03%   年初来 -0.03%
ドイツ10年国債 0.37% 前月比-0.01%  年初来 +0.18%
英国10年国債  1.33% 前月比 変わらず 年初来 +0.09%

世界的な好景気がインフレ率の上昇につながっていない現状を反映し、11月も世界主要国の長期金利は低位横ばいの動きが続く。12月に米国FRBが利上げを行うのが確実な情勢だが、新FRB議長のジェローム・パウエル氏もイエレン議長の緩やかな利上げ路線を継承すると見られ、金利の動きにも大きな影響を与えていない。



【11月末の先進国株式】

日本(TOPIX)  1792.08  前月比+1.5% 年初来+18.0%
米国(S&P500)  2647.58  前月比+2.8% 年初来+18.3%
(ナスダック) 6873.97  前月比+2.2% 年初来+27.7%
ドイツ(DAX)  13023.67  前月比-1.6% 年初来+13.4%
英国(FTSE100) 7326.67  前月比-2.2% 年初来+2.6%

11月の米国株式市場は堅調な経済および法人減税への期待からS&P500、ナスダック共に史上最高値を更新。日本も好調な企業業績(純利益で約17%増で過去最高の利益)を背景に25年ぶりの高値を奪回。欧州は全体的に堅調な経済指標を確認するも、ドイツにおいてメルケル首相の連立協議が不調に陥り、政治リスクの高まりから下落。



【11月末の新興国株式】

中国(上海総合)  3317.19   前月比-2.2% 年初来+6.9%
インド(SENSEX) 33149.35  前月比-0.2% 年初来+24.5%
ブラジル(ボベスパ)71970.99  前月比-3.1% 年初来+19.5%
ロシア(RTS)   1131.56   前月比+1.6% 年初来-1.8%

11月の新興国市場は先進国と比較して軟調な展開。5年に1度の全人代が終了した中国が、景気浮揚を中心とした経済政策から、一部において景気の過熱を抑える政策に転換する動きが見られ、その影響で株式市場は下落した。



【11月末の商品市況】

WTI原油先物(1バレル)57.40ドル 前月比+5.6% 年初来+6.9%
NY金先物(1オンス)  1273.20ドル 前月比+0.5% 年初来+10.7%

原油価格は大幅上昇。上昇の要因として、①イラクにおけるクルド自治政府の問題②サウジアラビアにおける内紛③OPECの減産継続による需給の引き締まりが挙げられる。金価格は中東、東アジアの地政学リスクの高まりもあり小幅上昇。



【11月末の為替市場】(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。

米ドル/円  112.54円  前月比-1.0% 年初来-3.7%
ユーロ/円  134.01円  前月比+1.2% 年初来+8.9%
英ポンド/円 152.35円  前月比+0.9% 年初来+5.7%
豪ドル/円  85.18円   前月比-2.1% 年初来+1.0%

11月の為替市場は、米国の金融政策において、今後の利上げがゆっくり慎重に行われることがFOMC議事録の内容等から意識され米ドルが小幅安となった。一方、利上げを行った英国、堅調な経済指標が確認された欧州通貨(ユーロ)が買われました。円に関しては、金融緩和継続の一方で貿易黒字および経常黒字が増加しており、なかなか方向感がつかみづらい状況。

以上。