2018年4月26日木曜日

「アンチエイジング市場拡大」について思うこと

201841日付日経新聞 「アンチエイジング、米席巻」

(以下、一部抜粋および要約)

調査会社マーケット・データ・フォーキャストによると、米国では今後、1946年~64年生まれの「ベビーブーマー」世代が65歳以上の老齢期に入ること、またこの世代の米国人のライフスタイルとして、生涯現役を通す気持ちが強く若返りの意欲が旺盛であること等から、アンチエイジング(抗年齢)分野の商品やサービスの市場が急拡大すると予測される(2016年市場規模150億ドル→2022年は203億ドル)。

しわ取りのボトックスやレーザー皮膚治療などの美容医療の分野は、年率8%程度の成長が見込まれる。また米ITの集積地シリコンバレーでも「不老不死」をテーマとして技術開発に巨額のマネーが動いている。

以上


さてアンチエイジング市場の拡大傾向は、米国に限ったことでなく、高齢化で世界の先頭をいく日本、また中国、欧州等でも見られる「全世界的な傾向」と言えます。

よって企業は、製造業・サービス業、規模の大小、国地域等の別を問わず、この21世紀の世界的社会テーマと向き合い、知恵を絞っていくことが求められています。弊社も例外ではありません。

今後この分野で活躍して生き残る企業は、資産運用の観点からみても「有望な長期投資の対象先」。優秀な運用会社はそこを見逃さないでしょう。

ただ個人的に感じるのは、多くの企業(商品・サービス提供者)が、高齢者をマス(全体)で漠然としたイメージで捉えているケースが多い気がします。残念ながら、それでは本当にいい商品開発やサービス提供はできません。

実際、私がファイナンシャル・アドバイザーとしてお付き合いを頂いている60代以上のお客様のことを思い浮かべてみても、そこには実に多様なライフスタイルが存在し、人生の価値観やお金との付き合い方も千差万別です。

一方で共通項もあり、それは弊社のお客様に限って言えば、知的かつエネルギッシュで元気な方が多いということです。そこらの30代~50代より精神的にも健康的にも若いのでは?と思うほどです(笑)。

よって私としては「高齢者向けに特別なサービスを提供している」という意識は、実のところ、ほとんどありませんし(法令で定められた各種事務手続きを除くとですが…)、一般的に高齢者と呼ばれる年齢層の方々を、マーケティング上のひとつの塊として考えたこともありません。常にパーソナルな視点から、誰もがいつかは経験するライフステージの後半戦を生きる先輩だと考えています。

そんな先輩方々の人生の後半戦がより豊かなものになるよう、バリューマネジメントも引き続き頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします!


2018年4月12日木曜日

初心に戻って


先週末、ビジネスパートナーのYさんに贈って頂いた「WHYから始めよ!(サイモン・シネック著)日経新聞出版社」という本を読みました。

この本の中で、米国コンサルタントの著者は「ビジネスで成功している個人・組織」の共通項として「それは全てWHYから始まっている」と説いています。

ライト兄弟、キング牧師、アップル、サウスウェスト航空など卓越した成功を収めた個人・組織の根底にある考え方は、すべて「なぜ自分たちはこれをやっているのか?」という自問から始まっており、その解決方法として何(WHAT)かを、何らかの手段(HOW)で行っているのです。

私はそれを「初心忘るべからず」ということだと解釈しました。

例えば、アップルのなぜ(WHY)?は、良質なテクノロジーを提供することではなく、現状に挑戦し社会を変革するという点にあります。パソコンやスマートフォンは、あくまでそのための手段(HOW)であり、結果(WHAT)にすぎないのです。

「アップルはコンピューター会社ではなく、現状に挑戦する会社」

WHY?こそが、個人のライフスタイルや組織のアイデンティティーを示します。

WHY?は創業者の思想や生き方の中に存在し、それが創業メンバーであったり、社員であったり、取引先であったり、そして最終的にはお客様に伝わっていくことで、会社は成長を遂げていきます。

そして長く反映する会社は、創業者が亡くなった後でも、そのWHY?が生き続けているのだと強く感じます。

「バリューマネジメントのWHY?は何か?」改めて初心に戻って考えてみました。

バリューマネジメントは金融商品仲介業者(法的にはそうなのですが)でなく、
豊かな人生を支える財務基盤の構築と管理(=資産運用)について、
高い専門性と豊かな人間性を持つファイナンシャルアドバイザーが、
お客様を長期にわたって全力でサポートする会社です。

「これからの時代に必要不可欠な個人(パーソナル)に焦点をあてた資産運用サービス、しかしそれを本気でやっている会社が日本にはない」と感じたから、弊社がやる。

それがバリューマネジメントのWHY?です。

またそれを実現する最大の鍵は「信頼」であることも、本の中で再確認できました。
(抜粋)

・歴史的にみても信頼は企業や社会が発展するうえで、技術そのものより大きな役割を果たしてきた。

・信頼は私たちが人生を歩んでいく基盤。

・信頼がなければリスクをとることはできない。


さあ心新たに「WHYから始めよう!」。

最近、少しもやもやした事が多かったので、いいタイミングでいい本を贈ってくださったYさんに感謝です!!



2018年4月5日木曜日

マーケットレビュー(2018年3月)

■新年度のご挨拶

2018年度が始まりました。私事で恐縮ですが、資産運用業界でのキャリアも長くなり29年目に突入します。皆様、引き続きよろしくお願いいたします!

ところでメジャーリーグではエンゼルスの大谷選手が大注目されていますが、個人的には44歳のイチロー選手が古巣マリナーズに復帰し、27年目の今季、最初のヒットを打ったことに感動しました。

その時のイチロー選手のコメント⇒「この1本があるかどうか、ずっと分からないままこの冬を過ごしてきた。その意味で僕にとって重い1本になりましたね。」

さすが日米通算で4000本以上ヒットを積み重ねてきたイチロー選手の言葉は重みがあります。誰よりも多くヒットを打ってきた男だからこそ、誰よりもヒット1本の重みを知っています。

私も少しでもイチロー選手のようなプロフェッショナル魂を見習い「継続と改善」によって自分なりに仕事の質を高めていきたいと、心を新たにした次第です。

ということで前置きが長くなりましたが(笑)…、先月のマーケットレビューを行いたいと思います。今までのレビューの書き方と少し変えてみましたが、ご一読頂ければ幸いです。


■マーケットレビュー(2018年3月)

【最近の流れ①~悲観的なニュースばかりが目につく昨今~】

世界同時好況で年初から世界株式市場は力強く上昇しましたが、22日米国で賃金上昇率が87か月ぶりの高い水準になったことにマーケットは驚き、長期金利が急上昇、その影響から世界株式市場は急速に下落し始めました。

2月中旬以降は、改めて実体経済の強さを示す統計が発表され、米国の金利上昇も一服したことから、世界株式市場も徐々に落ち着きを取り戻しつつありました。

そんな矢先の31日、米国トランプ大統領が「鉄鋼・アルミニウムの輸入制限(25%、10%の関税)」を発表。その後「中国に対する知的財産権侵害に対する制裁措置」にも言及。中国は当然のごとく速やかに対抗措置をとり、今まさに世界の二大経済大国である米中を軸に、世界貿易戦争が始まるのではないかと危惧されています。

OECD(経済協力開発機構)は、米国・EU・中国が輸入コストを平均10%引き上げれば、世界のGDP1.4%、輸出を6%押し下げると試算しています。2018年の世界経済が3.5%~4%程度の成長と予想される中、貿易戦争が起きたら世界経済の成長率の1/3以上が棄損されるということになります。そしてこの悪影響を最も受けるのが、実は米国自身であると言われています。その点については、トランプ大統領も理解しており、今後現実的な対応をしていくと信じたいところであります(苦笑)。

(米国)
米国では国内的にも大きな問題が起きています。アマゾンやフェイスブックというIT大手が、政治的な側面からの攻撃を受けており、電気自動車のテスラが大規模リコールを起こし経営不安も囁かれ、ウーバーテクノロジーの自動運転車が事故を起こすなど、今後の米国のイノベーション停滞が危惧される様々な問題が露出しています。その他にも先月は、トランプ政権の経済政策面を支えてきたコーン国家経済会議委員長が辞任、ティラーソン国務長官が解任という出来事もありました。

トランプ大統領は、完全に11月の中間選挙対策モードになっています。米中間選挙は連邦議会や州知事の統一選挙ですが、大統領選の中間年に行われ実質的に全米規模の大統領信任投票の意味合いを持つと言われています。共和党が上下両院で過半数を維持できるかがポイントですが、そのためにトランプ大統領は自分の支持者をつなぎとめるべく国内外に敵をつくり、派手に立ち回っているというのが現状ではないでしょうか。

(日本)
財務省が森友文書の書き換えを認め、安倍政権が窮地に陥っています。アベノミクスの最終段階と言える岩盤規制への挑戦は風前の灯のようにも見えます。働き方改革の目玉の一つと目された「裁量労働制拡大」も先送りが決定し、今後の日本経済の成長に影を落としています。

(欧州)
欧州景気は全般的に底堅いのですが、長引く低金利の影響で金融セクターが不調。政治的には3/4にドイツで大連立政権が発足し5ヵ月ぶりに政治空白が解消されるも、メルケル首相の影響力は明らかに低下しており、欧州の政治の不安定さは暫く継続する模様。

(中国)
3/5全人代が開幕。経済面では過去に積み上がった過剰債務の削減を念頭に、経済を上手に軟着陸させることに主眼が置かれた印象。中国経済は底堅いながらも、当面は抑制気味に推移するでしょう。そんなタイミングで米国が仕掛けた貿易戦争の影響が、今後どこまで出るかに注目。政治面では国家主席の任期が撤廃され、習近平氏への権力集中の度合いが高まりました。

(その他)
ロシアでプーチン大統領が再任(選挙で圧勝)され、さらに独裁体制が強化されました。今後も国際政治の波乱要因になりそうです。


【最近の流れ②~楽観的な側面を見落としてはならない~】

実際、足元の世界経済(マクロ面)や企業業績(ミクロ面)は好調。株価の下落で割安感が台頭。PER(株価/一株当たり利益)の水準に注目。

3/9発表の2月米雇用統計では雇用者数が前月比で31万人増加(予想+20万人)。企業の設備投資も堅調。賃金上昇率は前年同月比+2.6%増に止まり市場は安堵しました。米国企業の2018年の増益率(予想)は+20%に迫る勢い、その中で株価が下落しているので、S&P500の予想PERは16倍程度まで低下。割高感がかなり解消されてきました。

日本企業の平均ROE(株主資本利益率)が初めて10%を超えてきました。「資本効率の向上」は株式市場の中長期的な上昇につながるポジティブなニュースです。2018年度の企業業績(東証1部)は、1ドル110円を前提に概ね8%~9%程度の増益というのがコンセンサスだと考えられますが、100円を割り込むような状況にならなければ増益基調は維持できるかと思います。現在株価の下落で予想PERは12倍~13倍台に低下して、こちらも割安感がでてきました。

欧州・アジアも同様に、各国の予想PERは12倍~15倍のレンジに落ち着き、過去2ヵ月にわたる株価下落で割高感が解消されています。また業績面でも中国の情報通信分野の利益成長は目覚ましく、三井住友アセットマネジメントの予測によると、同分野の利益伸長率は2017年+46.5%(実績)、2018年+25.1%、2019年+27.3%、2020年+24.3%とのこと。

現在、ネガティブなニュースは市場に織り込まれつつあり、悪い情報に対して株価が意外と下がらない、逆に少しでもポジティブなニュースがでれば、思った以上に上昇するという局面も考えられます。

とはいえ将来を正確に見通すことは誰にもできませんので、やはり長期投資において大切なことはタイミングよりも継続です。「良い局面も悪い局面も受け入れることでしか、マーケットのリスクプレミアム(収益率)は獲得できない」ということを忘れてはなりません。


20183月の金融市場の動き

3月の金融市場では、長期金利の上昇が止まりましたが、株式市場は2月に引き続き下落しました。為替市場では米ドル安が継続。年初からの円高傾向も変わらず。

3月末の長期金利】 
日本10年国債  0.05%     前月比 変わらず 昨年末比 変わらず
米国10年国債  2.74%     前月比-0.12%  昨年末比 +0.34
ドイツ10年国債 0.50%     前月比-0.16%  昨年末比 +0.07
英国10年国債  1.35%     前月比-0.16%   昨年末比 +0.17

3月末の先進国株式】
東証株価指数  1716.30   前月比-2.9%  昨年末比-5.6
米国S&P500   2640.87   前月比-2.7%  昨年末比-1.2
米国ナスダック  7063.45   前月比-2.9%  昨年末比+2.3
ドイツDAX   12096.73  前月比-2.7%  昨年末比-6.4
英国FTSE100  7056.61   前月比-2.4%   昨年末比-5.9

3月末の新興国株式】
中国上海総合   3168.90   前月比-2.8%   昨年末比-4.2
インドSENSEX  32968.68  前月比-3.6%   昨年末比-3.2
ブラジルボベスパ 85365.56  前月比 変わらず  昨年末比+11.7
ロシアRTS    1249.41   前月比-2.8%   昨年末比+8.2

3月末の商品市況】
WTI原油先物(1バレル)64.94ドル  前月比+5.4% 昨年末比+7.5
NY金先物(1オンス)  1322.8ドル 前月比+0.6% 昨年末比+1.3

3月末の月末の為替市場】(+は円安 -は円高)
米ドル/円  106.27円   前月比-0.4%  昨年末比-5.7
ユーロ/円  130.86円   前月比+0.6%  昨年末比-3.2
英ポンド/円 149.01円   前月比+1.5%  昨年末比-2.1
豪ドル/円  81.66円    前月比-1.4%   昨年末比-7.1

以上