2018年12月29日土曜日

年末のご挨拶(平成最後の年末に)

昨日、平成最後の大納会が終了しました。皆様、本年も大変お世話になり、誠にありがとうございました。

2018年の世界株式市場は、年初から好景気を背景に勢いよくスタートしましたが、その後は「米中貿易戦争の激化」「欧州政治の不安定化」「米国の利上げとそれに付随する新興国経済危機」等で、世界経済の先行き不透明感が日に日に増していき、年間を通してみると、殆どのリスク資産の価格が大きく下落する結果となりました

日経平均の2018年終値は20014.77円(昨年末比-12.1%)となり、何とか2万円台をキープして終わりましたが、アベノミクス後、年間を通して初のマイナスとなりました(詳細のレビューは改めて来年に…)。

以上、残念ながら今年の資産運用環境については、近年まれに見る厳しいものとなりました。

さてここで平成最後の年末なので、日本という枠組みで平成の30年間を振り返ってみたいと思います。

概ね「最初の20年が破壊の時代(失われた20年)」+「後半10年は再生への挑戦(リーマンショック後のアベノミクス等)」ということが言えるのではないでしょうか。

全体を通してみると、平成元年の年末に日経平均が史上最高値(38915円)をつけ、翌年の平成2年から現在に至るまで、日本の株式市場が過去の高値を一度も超えることはありませんでした。日経平均株価で言えば、30年間の投資で(配当落ち後の指数)概ね半値になってしまい(配当込みだと大分景色は違うのですが…)、世界でも類を見ない株式市場であったと言えるでしょう。

しかし一方で、日経平均というインデックスではなく、個々の銘柄を見てみると、実は多くの会社が過去最高値を超え力強く上昇しています。やはり成長する企業を適切な価格で購入すれば、全体とは関係なく株価は上昇するということが、バブル崩壊、少子高齢化等で成長力が落ち込んだ過去30年間の日本市場においても、しっかり証明されたのだと思います。

また「私の個人的な人生」と「平成という時代」を照らし合わせ思うことは、平成元年に就職活動をし、平成2年に野村證券に入社してから現在に至るまで、この資産運用業界でよく働き続けてきたなーと言うことです。大学時代はアルバイトも長続きしなかった自分を思うと奇跡的なことだと感じます(笑)。とにかく時期的な側面から見ても「平成=私のビジネス人生そのもの」だと感じますし、平成の時代の日経平均チャートを見ると、その時々の思い出が明確に蘇ってきます。

個人として平成最後の年末、過去を振り返りつつ今後について、こう思います。

    平成の30年間お陰様で元気でやってこれました。周りの大切な人達に感謝!たまには自分も褒めてみよう。お疲れ様自分!(笑)。

    そして次の時代、過去に一定の区切りをつけ、また新しい挑戦を始めよう。長期的な視点で「お客様の資産価値向上に貢献するパーソナル資産運用サービス」を実現していく目標に変わりはありませんが、より良いサービスにするためには、変化を恐れてはならない。改めてそう思う今日この頃です。(働き方や生き方も再考したいと思います。)

最後に、世界を見渡すと「テクノロジーの飛躍的発展がグローバル化を促進する側面」と、その結果として生み出された「経済格差(特に米国)とポピュリズムの側面」との摩擦が大変激しくなってきており、これまでの世界の社会経済の仕組みを壊してしまうくらいと言っても過言ではありません。来年以降も、この動きが簡単に止むことは予想し難く、私たちは当面、不安定な時代を生きていくしかなさそうです。

ただ長期投資の観点から言えば、このような時期こそが、次の良い時代への準備期間になることを忘れてはなりません。しばらく厳しい環境が続きそうですが、私もファイナンシャル・アドバイザーとして、皆さんの資産運用をしっかりサポートしてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます! 

それでは皆様、良いお年を!!

2018年12月26日水曜日

3人の自分マネジメント

パーソナルファイナンスの実践にあたり、各々の人生の中でお金とどうつき合うべきか? 考えるべきか?ということについて、私は自分自身を「3人の自分をマネジメントする経営者」だと意識すると、比較的うまくいくのではと提案しています。

    1人目は収入を稼ぐ「働く自分(ビジネスパーソン)」のマネジメント。
現実の社会経済の中で、自分自身の価値観をベースに、強みを活かし、弱みが何かを知り、それをどう補完するかを考えることで、ビジネスパーソンとしての価値を最大化させていく道筋が見えてくるのではないでしょうか。経営者の自分が、社員の自分を客観的に分析して、アドバイスを送るというアプローチも面白いと思いませんか?

    2人目は支出をする「お金を使う自分(消費者)」のマネジメント。
個人的には、最近この2人目の自分をどう扱うべきか?ということに大変関心があります。パーソナルファイナンスの一般論としては、働く自分の満期がきた後(退職後)に、貯えがなければ生活に困ってしまうので、現役時代に支出は収入以下に抑え、貯蓄や投資をしようという量の面だけが重視されがちです。
しかしながら今この時、お金をどう使うかが、最もリアルタイムにその人の価値観が反映される瞬間でしょうし、自分というものを超え、選挙で投票する以上に世の中を変えていくインパクトがある行為なのだと思います。
例えばプラスチック製のストローを極力使わないレストランで食事をする。少し値段は上がりますが、あらゆる生物の共通の生存基盤である地球の保全に貢献することができます。それだけでなく、やはり社会正義に反していたり、自分自身の価値観に合わなかったりする会社の商品やサービスは使わないというのも大切なことなのだと思います。
そうしていくことが社会を少しでもいい方向に前進させていくのだと思います。ポイントが貯まってお得という視点だけの消費活動の広がりは、本当に人間の精神を貧弱なものにしかねないと危惧します。


    3人目は、資産を管理する「投資家としての自分」マネジメント。
「働く自分が生み出したプラスのキャッシュフロー」、「消費者としての自分が使ったマイナスのキャッシュフロー」の差額が、年々蓄積され「資産」となります。
資産形成の目的は、働く自分がキャッシュフローを生み出さなくなった時の経済準備ですが、貯蓄だけではなぜダメかというと、貯蓄の金利は一般的にインフレ率(物価上昇率)に負けてしまい、長期的に購買力が減価してしまうからです。
だからこそ長期的に価値を保存し、成長させる投資(長期投資)が重要になってくるわけです。しかしながら投資においては、貯蓄と異なるいくつかのリスクがあり、そのリスクに対する深い認識(および対処方法)がなければ、投資によって資産価値を向上させるどころか、貯蓄よりも減らしてしまうことになりかねません。
リスクの中でも、特に価格変動リスクに対する認識と対処が最も重要な点になってくるでしょう。201812月現在、金融マーケットは大荒れ状態で、大半の資産価格も大きく下落しています。このような時期は、マーケットの変動の波を受けているのは自分だけではないことを十分認識しておかなければなりません。
世界中の個人投資家、機関投資家が等しくその影響を受けているのです。
にもかかわらず、後で振り返ると運用が上手くいっている投資家とそうでない投資家が出てくるのは、このような時期の心の持ち方や対処法の違いによるものなのです。

以上、思うことをつらつらと書きましたが、皆さんも改めて、3人の自分をマネジメントする経営者として、平成の次の時代を豊かに生きるためのファイナンシャルプランを考えてみてはいかがでしょうか?

2018年12月9日日曜日

マーケットレビュー(2018年11月)


【マーケットコメント】
10
月に円ベースで約9%と大幅下落を記録した世界株式指数(MSCIACインデックス)ですが、11月は総じて一進一退の動きでした。政治経済面では株式市場の動きとは相反し、大きな動きがいくつも見られました。

まず116日の米国中間選挙。予想通り下院を野党民主党が制し、今後トランプ大統領への攻勢を強めていくことが予想されます。欧州では英国のEU離脱問題(合意なき離脱の可能性)、フランスのマクロン大統領の支持率低下、ドイツのメルケル首相の退陣、イタリアの財政問題等、欧州政治情勢はさらに混迷の度合いを増しています。

実体経済面でも今、このような政治問題(特に米中貿易戦争)の影響が本格的に出始めており、米中対立が解消されないのなら、来年の世界経済の成長は相当程度の鈍化を示すことになるでしょう。また日本では日産自動車のカルロスゴーン会長が逮捕され、12月になり中国の通信最大手ファーウェイの副会長が米国の要請を受けカナダで逮捕されました。

2018年も残すところあと一ヵ月ですが、金融市場において今年を代表するキーワードを、私的に選ぶなら「不安定(=不安+不定ともとれる)」という言葉になるでしょうか。

不安定が原因の株価下落は、利益減少が原因の下落と異なり、割安感というプレゼントを提供してくれる一面もありますので、今後の企業業績を「どう見極めるか?」が、とても重要な局面に差し掛かっていると言えるでしょう。


【金融市場の動き】

(11月末の長期金利) 
世界経済の先行きに対する不安から、先進国の長期金利は低下しました。特に米国では住宅需要に陰りが見え始めており(新築一戸建て住宅の販売は4ヵ月連続減少)、米国10年国債金利も3%割れとなりました。
世界の長期金利
11
前月比
年初来
日本10年国債
0.09%
-0.05%
0.04%
米国10年国債
2.99%
-0.15%
0.59%
ドイツ10年国債
0.31%
-0.08%
-0.12%
英国10年国債
1.34%
-0.11%
0.16%



(11月末の日本株式)
強弱材料がある中、とりあえず先月までの下落に歯止め。ただ米中貿易戦争問題で何らかの妥協があることへの期待から株式が買戻されたに過ぎず、上値を追う雰囲気は全くないのが現状。東証株価指数の予想PER(株価収益率)が約12倍と割安であることで下値も堅いのだが…。金利低下で上場不動産投信(REIT)は上昇。 
国内株式
11
前月比
年初来
日経平均株価
22351.06
2.0%
-1.8%
TOPIX
1667.45
1.3%
-8.3%
ジャスダック平均
3576.31
0.4%
-9.5%
東証REIT指数
1816.96
4.1%
9.3%


(11月末の先進国株式)
米国株式はFRBパウエル議長の利上げのトーンが弱まったことで月間を通すと小幅上昇。欧州株式については、政治面、経済面から逆風が強まっており今月も下落。ドイツでは79GDPがマイナス成長になり、DAX指数は年初来安値を更新中。一方でドイツ株式の予想PERは約11倍まで低下しており割安感はかなり出てきている。
海外先進国株式
11
前月比
年初来
NYダウ工業30種
25538.46
1.7%
3.3%
S&P500
2760.17
1.8%
3.2%
ナスダック
7330.54
0.3%
6.2%
FTSE100
6980.24
-2.1%
-9.2%
DAX
11257.24
-1.7%
-12.9%
香港ハンセン
26506.75
6.1%
-11.4%


(11月末の新興国株式)
米国の金利低下を受け、新興国市場は落ち着きを取り戻しました。特に原油価格の大幅下落を受け、石油を大量に輸入しているインドの株式市場は大幅高。
海外新興国株式
11
前月比
年初来
上海総合
2588.19
-0.6%
-21.7%
インドSENSEX
36194.30
5.1%
6.3%
ブラジルボベスパ
89504.03
2.4%
17.1%
ロシアRTS
1126.14
0.0%
-2.5%


(11月末の商品市況) 
原油は10月に-11%、今月-22%と急落。世界経済の成長率鈍化に加え、米国シェールガスの増産等で需給が緩和されていることが原因。
商品
11
前月比
年初来
原油WTI先物(ドル)
50.93
-22.0%
-15.7%
NY金先物(ドル)
1220.2
0.7%
-6.6%
CRB指数(ドル)
181.74
-4.8%
-6.3%


(11月末の為替市場)  黒字は円安、-赤字は円高
為替市場では、先月のリスクオフの円高から、若干リスクオンの円安へ。特に今年大きく売り込まれていた資源国通貨、新興国通貨がリバウンドした月となりました。
為替
11
前月比
年初来
米ドル/
113.50
0.5%
0.7%
ユーロ/
128.51
0.5%
-5.0%
英ポンド/
144.64
0.3%
-4.9%
豪ドル/
82.95
3.8%
-5.7%
NZドル/
78.03
6.0%
-2.3%
カナダドル/
85.43
-0.5%
-4.7%
スイスフラン/
113.60
1.4%
-1.8%
南アランド/
8.19
7.0%
-10.4%

以上