2019年3月27日水曜日

新しい時代へのアクション

「日本のドローン関連スタートアップ企業が相次ぎ海外に進出(日経新聞2019318日付)」という記事に注目しました。

東京都渋谷に本社を置きドローンの運行システムを手掛けるテラドローン社は、新興国を中心に22ヵ国に進出し、インフラ点検などのノウハウを蓄積しているとのこと。

「なぜ日本国内でやらないのか?」

それは日本国内ではドローンの飛行に関する規制が厳しすぎて、スピード感を持って事業を成長させることができないからです。

ドローンに限らず、日本では新しい技術を活用した社会を構築するにあたり、様々な分野で規制が邪魔をしています(民泊やカーシェアリングなどが代表的な事例)。

アベノミクスの3本目の矢は「規制緩和によるイノベーション創出」だった気がしますが、それは私の勘違いだったかもしれない、とさえ思う今日この頃です(苦笑)。

確かに新しいことをする時には、必ず何かしらの問題が発生します。
しかしグスグスしていたら、それ以上に悪い状況になるのは誰の目にも見えているはずです。
だからこそ「新しい」に付随する問題を最小限に食い止める策を講じ「新しい」が生み出す利益を最大化させるといった総合的な視点が大切になってきます。

しかし残念ながら、何か問題があれば即座にネットで誹謗中傷される世の中の風潮が、日本全体のチャレンジ精神の欠如を助長しているようにも見えます。

今まさに「本格的な人口減少、高齢化社会」を迎えるにあたり、それに対応した社会構造を創るために適切な手を打っていかなければならない時期です。

過去からの規制や既得権の存在が新しい動きを制限する状況が続くならば、日本の未来は決して明るいものにはなりません。

このような現状を長期投資の視点から見れば、日本市場の存在感はますます薄くなっています。一部の選りすぐりの企業だけは勝ち残っていくでしょうが、そのような社会は決して健全ではありません(現在の韓国のような近未来)。

奇しくも人口減少、少子高齢化で世界のトップを走ることになった日本ですが、過去のいい部分は残しつつ、駄目になった部分は果敢に断ち切り、様々な社会問題を解決する多種多様な企業が活躍する土壌をつくっていくことが急務です。

そのためには規制緩和は避けて通れません。しかし一方で現場の声を真摯に汲み取る柔軟性と深い洞察力がなければ、規制緩和の悪い側面が顔を出してくる可能性が高くなってきます。

まあどちらにしても、日本が新しい時代に繁栄するためのアクションにとって、残された時間は短く、また狭く困難な道になっているように感じます。これは悲観論ではなく、健全な危機感です。

私が個人としてできるのは「日本の個人金融資産の価値向上に資するファイナンシャルサービスの提供」だけですが、他の分野で頑張る皆さんを、私の分野でできることでサポートをしていく。
微力ではありますが、そんな使命感を持って新年度また新しい元号の時代を迎える所存です。

2019年3月11日月曜日

金融業界の未来

「これから数年で日本の金融業界は激変していく。」
多くの人が、そう予感がしているのではないでしょうか。

おそらく一番敏感に感じ取っているのは、既存の金融機関(銀行、証券、生損保)で働いている人たちでしょう。

それは銀行から有望な若手社員が続々と転職をしている現状に表れているような気がします。おそらく証券や生損保業界でも同様のことが起きていると推測します。

このような状況に陥るトリガーを引いたのは、20161月に始まった「日銀のマイナス金利政策」だと思います。これで銀行は利ザヤが稼げなくなり、加えて国債などの安全資産での運用もできなくなり、安定収益(ある種の既得権)が奪われることになりました。

さらには近年の金融監督庁の法令順守に関する厳しい姿勢が、いわゆるコンプラ不況を招いている可能性も否定できません。

金融業界全体として自業自得という側面があるにしろ、日銀のマイナス金利政策で安定収益を奪われ、法令順守は当然かつ最も大切なことですが、実際には金融機関のアニマルスピリッツを奪い、積極性を失わせている。
そのような感覚は、金融の現場で働く人達の多くが持っているように思います。

「金融機関の人間は悪いことをする」という性悪説をベースにルールが変更され「金融機関は利用者や社会のニーズに応えていない」という烙印を押されるなど、今まで金融機関が果たしてきた良い側面を全否定するような風潮があるとするなら、それはちょっと行き過ぎのような気がします。

テクノロジーの発展で、既存の金融業界は新興のフィンテック企業に取って代わられる。資産運用も人間よりもロボットやAIに任せた方が、安くて良質なサービスが受けられる。

そんな近未来予想図が政治や行政やマスコミを通じ語られているように感じますが、個人的にはこのような風潮から生み出される金融業界の未来にポジティブなイメージを持つことは全くできません。

金融サービスを享受するお客様は、血も涙もないロボットではなく、様々な価値観や感情を持つ人間だということを忘れてはなりません。

ビッグデータやアルゴリズムで分析することで「個々の人生とお金に関する正しい意思決定」を簡単に導きだせる、そんなものでは決してないのだと思うのです。

だから金融業界で働く皆さん、厳しい環境かもしれませんが頑張ってまいりましょう。

「人間の私たちにしかできない仕事はなくならない」

「それどころかますます重要になってくる。」

それが未来の事実になっていると私は思います。
(とは言え、今のままのやり方では、本当に駄目になっていくということも自覚しながら…)。

2011年3月11日の東日本大震災から8年目の今日。

日々元気に仕事ができることに感謝しつつ、ファイナンシャルアドバイザーという仕事の本質を改めて確認し、しっかりとお客様と向き合っていかなければならないと、私も心を新たにしたところであります。