2019年5月31日金曜日

ゲートキーパーとして

2016年末時点のちょっと古い数字で恐縮ですが、日本の個人金融資産=約1800兆円から発生している金融収益(利息・配当等のインカムゲイン部分)は約14兆円です。

利回りを計算すると14兆円/1800兆円=約0.8%。

一方で米国は,260兆円/8400兆円=約3.2%。
欧州は、100兆円/2700兆円=約4.1%。

こう見ると、日本の個人金融資産の収益率の低さが際立っています。

実はこの数字、以前当ブログでご紹介をしたことがありますが、
この収益率格差は足元でさらに拡大しているように、個人的には感じています。

既に世界一の少子高齢化社会を迎え、今後は人口減少ペースも世界一の日本に生きる私たちにとって、
この金融資産の収益率の低さはかなり危機的な状況だと思います。
(人口減少でGDPというフローの増加が期待しにくい中で、金融資産というストックの収益率が低いというダブルパンチ)

この個人金融資産の収益率に低さが、全体として日本の明るい未来を描きにくくしているように感じます。

その最たる要因は、預貯金比率が欧米と比較して突出して高いこと(日:米:欧=52%:14%:35%)であり、裏を返すと「投資不足」という言い方もできますが、なぜ長年にわたって投資不足の状態に陥っているのか?

その原因をしっかりと理解しなければ「貯蓄から投資へ!」とか「100年人生時代は自助努力で資産形成を!」などと、いくら日本政府や金融機関が声高に叫んでも、今後も抜本的な変化は見られない気がします。

日本人の投資不足に関する私の結論は「過去、日本には長期的に個人の資産形成に貢献した投資商品がなかったから」、実はこれに尽きるのではないかと感じています。

「長期複利運用」で10年、20年、30年、40年という時間軸で資産を成長させていくというファイナンシャルコンセプトも、「質が高い投資商品の存在」がなければ、絵にかいた餅に過ぎません。

だからこそ弊社は、お客様に「質が高い投資商品」を活用した長期投資ポートフォリオを提供すべく、何がほんとうにお客様の資産価値を向上させる投資商品なのかを見極める「金融ゲートキーパー(門番)の能力」を、常に磨き続けていく必要があると考えております。

ここの部分は、これからの資産運用を考えるに、ますます大切なポイントになってくると予測しておりますが、巷ではこの地道な作業を放棄して、とにかく安く全部買っておけばいいというインデックス投資の比率が急激に増加しています。

インデックス投資は優れた投資戦略であると思いますし、それを全く否定するつもりはないのですが、みんなが何がいい会社なのか?とか、株価は割高か割安か?とかを考えなくなっている最近の風潮は、個人的にはちょっと行き過ぎていると感じます。

弊社はそれとは一線を画し、お客様の資産価値向上に貢献するプロダクトを、ゲートキーパー(門番)として選別し提供していきたいと思っております。

ところで話は戻り、日本に金融資産全体の利回り(インカム部分のみ)ですが、これが米国並みの3%になれば、金額ベースでは年間約54兆円となり、現在の年間14兆円から40兆円も増加することになります。

かなりざっくり捉えると、現在の日本の1年間の総税収は約60兆円で、そのうち消費税が約1/3で約19兆円くらいです。

「どうでしょう?」この数字を比較してみると、いかに資産価値を1%でも高めることのインパクトが大きいか、明確に見えてくるのではないでしょうか。

日本の個人金融資産の価値向上に貢献するため、弊社にできることは一人一人のお客様が長期投資に回せる金額を個々のリスク許容度と共にしっかり見積もり、一方で良質なプロダクトを選択し最適な投資ポートフォリオを構築することです。

さらにはポートフォリオ構築後の保守管理も大切です。短期的な相場変動を乗り越え、長期の成長を獲得するためには、理屈だけではなく、強い心をお客様と共有することも必要不可欠です。

特に昨今はトランプ大統領がツイッターで呟くたびに、マーケットが一喜一憂する不安定な状況が続いています。

だからこそ、より先の未来を見据えつつ、しっかりお客様の資産運用をサポートしていかなくてはと、改めて思いを強くする今日この頃です。


2019年5月17日金曜日

「ねんきん定期便」の衝撃

毎年、日本年金機構から「ねんきん定期便」が届きますが、
50歳を超えると「将来の年金額」がほぼほぼ明確になってきます。

さて私も51歳、今年の誕生日月に届いたこのハガキの内容を確認したのですが、
「これは何かの間違いではないか?」と思うくらいの衝撃を受けました。
※50歳になった昨年はちゃんと見ていなかったようです(苦笑)。
支払った年金保険料に対して、あまりにも給付額が少ないのです。

厚生年金の場合、本人と会社が折半で年金保険料を支払うわけですが、
ねんきん定期便には「本人負担分」しか記載されていません。
一般的に支払った保険料は10年くらいで元がとれるとされますが、
実際は会社負担分も考慮すると20年で元がとれるというのが真実です。

20歳から60歳まで年金保険料を支払い、65歳から支給され85歳で元がとれる。
「40年間も運用をしてこれ?」と思いますが、これが現在の平均的な状況です。

さらに世代間扶養を前提にしている日本の場合、実際は年齢によって条件に格差が生じ、
日本の人口構成だと若い人ほど損をするようになっているのは周知の事実です。

私の場合、概算で計算をしてみると85歳でも元がとれないことが判明したので、かなりの衝撃でした。
※私の周りの50代の人も同じような衝撃を受けて、年金機構に問い合わせをしようと思っている人もいらっしゃいました。

私も仕事柄、日本の少子高齢化や財政状況から日本の公的年金は厳しいということは、
当然理解をしており、それ相応の危機感を持っておりましたが、
個人的な「ねんきん定期便」に記された数字を見て、この危機は遠い未来のことではなく、
まさに今そこに迫っていることなんだと「ほんとうに心の底から実感」した次第です。

しかし50歳を超えないと、将来の公的年金の金額が明確にならないので
ライフプラン的に手遅れになる人も結構でてくるのではないかと危惧します。

50歳になって送られてくる「ねんきん定期便」を見て愕然とすることのないよう、
特に30代、40代の方々には、長期的かつ計画的に資産を形成していくことを、
強くお薦めしたいと思います(但し正しいやり方で)。

某金融機関リサーチ部門の試算によると、現在の年金制度のままだと、
2050年の日本では85歳世帯の約50%で金融資産がゼロになるそうです。
人生100年時代ということを考えると背筋が寒くなりますね。

この問題は極めて個人のライフプラン上のことではあるのですが、
この将来の個人的な課題に真剣に向き合うことが、
おそらく結果として、日本の財政や治安や経済を救うことにもなるのだろうなと思います。

バリューマネジメントは個人富裕層、法人等の資産管理のサポートだけでなく、
30代、40代のビジネスパーソンの長期資産形成の分野にも強みを持っておりますので、是非ご相談頂ければと存じます。