2020年3月5日木曜日

コロナショックについて

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、
先週(2/24~28)の世界株式市場は記録的な下落となりました。

先々週までの金融市場の動きをみると、
新型コロナウイルスは中国を中心としたアジアの一部地域で拡大するものの、
4月くらいにはピークを打ち収束していくというのがメインシナリオだったかと思います。

しかしイタリアにおける感染拡大の報道を境に、状況は一変しました。

特に今まで最も堅調だった米国市場でも、
NYダウが週間で3583.05ドル安と過去最大の下落幅となり、
下落率も12.4%とリーマンショック以来の大きさとなりました。

為替市場でも円ドルレートが111円から107円台へと円高が進捗しました。
米ドルの対円下落率が約3%とすると、
日本の投資家にとって先週は三連休明けで4日しかない営業日の中、
NYダウ(円ベース)は約15%下落したということになります。

現在(今週に入って)、一方的な下落には歯止めがかかっていますが、
相変わらず不安定な相場環境は続いており、
また日本国内の社会・経済の現状を考慮しても
まさに「コロナショック」と言っても過言でない状態です。

国内外で新型コロナのパンデミックが拡大し、
社会経済が破たんするのではという不安から、
さらなる株価の下落等、金融市場もリーマンショックと同様、
もしくはそれ以上のことになるのではという悲観シナリオをもつ投資家もいるかもしれません。

しかし、私の考えは「そうはならない」です。

リーマンショックは金融機関の破たんから信用不安が起き、
経済の血液であるマネーが目詰まりを起こし、心臓が止まりそうになった内臓疾患でした。

よって健康体になるまで相当なリハビリと時間を要したわけですが、
今回のコロナショックは突然、暴漢に襲われて殴られ骨を折って動けなくなってしまった。
そんなイメージの外傷と捉えています。
よって適切な治療を施せば、立ち直りも早いと推測しています。

勿論、感染症による経済の混乱を甘く見てはなりませんが、
一方で資産運用という側面で見るなら、
特に長期投資家がこの事象をあまり悲観的に考えすぎない方がいいというのが
私の考えです。

2020年2月29日付、日本経済新聞(朝刊)のコラム「大機小機」で
「新型コロナ、リーマン級だが一過性」という記事がありました。

記事の要約をすると…
①これから2020年1-3月期の深刻な経済実態が明らかになっていくだろう。
②特に日本経済は厳しい。インバウンド需要が減少、中国経済減速で輸出減少、中国の生産停止等でサプライチェーン(供給網)混乱、外出やイベント自粛による内需の減少。
③ただどう考えても一過性のショックなので、一旦感染が収まればV字回復となる。

この記事の要約をみて、あまりに楽観的な見通しと感じる方も多いかと思いますが、
私個人としては、ほぼ同じ見方をしています。

「一昨日、米国FRBが0.5%の緊急利下げを実施しました。」
金融緩和だけですぐに経済状況が改善されるわけではありませんが、
新型コロナの治療薬やワクチン開発、
集団感染を防ぐ様々な取り組みの等の効果が出始めた時には、
潤沢なマネーが割高感がなくなった株式市場に再び戻ってくる可能性が高いとみています。

弊社が考える長期投資では、
10年単位の世界経済成長を自らの資産に取り込んでいくことに
フォーカスしていくわけですが、それに付随して、
様々な要因から起きる下落局面を何度も経験していかなければなりません。

「長期成長(リターン)にフォーカスし、短期変動リスクは受け入れる。」

言葉でいうのは簡単ですが、実際にはなかなか難しいというのが人間心理です。
だからこそ、このような時こそ、
私たちのようなファイナンシャルアドバイザーの仕事があるのだと考えます。

今回のコロナショックも、過去の経済ショックと同様に、
お客様と一緒にしっかり乗り越えていきたく思っております。

そして、何度も危機を乗り越えた投資ポートフォリオこそが、
将来的に真の価値ある資産(将来キャッシュフローを生み出す)になるというコンセプトを、
今回さらに強固にする機会としたいとも考えております。

2020年1月31日金曜日

2020年

皆さん、ちょっと遅くなりましたが本年もよろしくお願い申し上げます!
※年明けから何かと忙しく、ブログを書く時間と気持ちの余裕が不足しておりまして、
という苦しい言い訳をしつつ…(苦笑)。

さて2020年は日本にとって、東京オリンピックが開催されるなど特別な年になりそうですが、年初から米国とイランの確執激化・新型コロナウイルス問題等で、金融市場はかなりの荒れ模様となっています。

今まさに、国家間の地政学リスクや天災・疫病リスクがマーケットの話題を独占していますが、これらのリスクは歴史的に頻繁に発生しているリスクであるということを忘れてはなりませんし、残念ながら今後もこの種のリスクが世の中から消えることはありません。

しかしポジティブな側面から見ると、世界経済・社会は様々な問題を(完全とは言えないまでも)その都度克服してきたという事実があります。

そしてその問題解決力自体が経済や社会の進化を促進しているという面があることも理解しておかねければなりません。

2020年も当ブログでは長期投資に必要な投資家マインドを醸成すべく、その時々の社会経済の個々の点の情報を「点から線へ、線から面へ、面から立体的に」と俯瞰しながら、書いていこうと思っております。

また個人的には、今年からブログでの四半期経済観測を止めることに致しました。

これは上場企業の四半期決算においても言われていることですが、
四半期決算になってから多くの経営者が短期志向になってしまったいうことに近い理由からのことです。
(もう四半期決算を止めた方がいいという意見もあるくらいです。)

長年私も、年金基金や金融機関等の機関投資家が、運用会社から丁寧な四半期報告を受けている様子を見て、個人投資家にもそのようなキメ細かな同様のサービスを実現したいと考え行動してきましたが、それが逆に個人投資家のストロングポイントを消してしまう結果を招きかねないということを、年々強く感じるようになりました。

個人投資家が機関投資家と異なり優位な点は、四半期毎、1年毎の決算における損益を意識しないで、長期的に構えることができるところです

それなのに機関投資家と同じ視点と時間軸で行動をしてしまっては、機関投資家と比較して情報劣後にある個人投資家が、マーケットでいい運用成績があげられるはずがありません。(要するに四半期毎の損益を気にしたところで、いいことは何もないということです)。

そんな思いから、長期投資をサポートするための当ブログにおいては、より人生を豊かにするための長期投資の考え方であったり、地球上のどこに将来の成長機会があるのかといったようなことについて、私の視点から、無理のないペースで愉しく書かせて頂けたら、これ幸いと思う次第です。

最後に私事で恐縮ですが、1990年から30年間、資産運用の仕事に携わり今年4月から31年目に突入します。

過去30年間積み上げてきたものは意識せずとも必要なものは残ると信じ、
意識としては1990年当時、何の知識もないが挑戦する気持ちだけがあった新人時代に戻って、
2020年からのこれからを「挑戦する心」をもって愉しく生きていきたいと思っております。

どうぞ引き続きよろしくお願い致します!!